メニュー専用調味料で魚料理のメニュー拡大を提案

 鰹節専門店のにんべんは、メニュー専用調味料の強化に乗り出した。2018年秋に発売した「だしとスパイスの魔法シリーズ」に今春は一層力を入れる。

 同商品は女性主体の開発チームが俳優の速水もこみち氏と共同で商品開発したもの。調味液は化学調味料無添加で、鰹節だしをベースに素材のうま味を、さらに特製スパイスは食材のうま味を引き立たせる速水氏こだわりの種類を配合。20年には「短時間で大切な人に美味しい料理を」をコンセプトに、ターゲットを「30代以上の子どもを持つ共働き夫婦」に設定した。

 フライパン一つで10分以内に調理できる利便性を高め、同年春に発売した「旬の魚でアクアパッツァ」は数少ない魚料理のメニュー提案が支持され売れ行きが伸長。CMで訴求した「鶏肉のハーブソテー」とともに、同シリーズの二本柱となっている。簡便時短ニーズと巣ごもりによる内食需要の拡大にも対応したことで、シリーズ全体では今年1月時点で前年比271%と高い伸び率を示している。

 今年3月1日には、鶏肉に適した「こんがりスパイシーチキン」と魚に適した「旬の魚でビネガーソテー」(各250円税別)を追加発売した。スパイシーチキンは鰹節のうま味を効かせたしょうゆベースのたれに、パプリカや唐辛子粉、ガーリックなど8種類のスパイスをブレンド。またビネガーソテーは鰹節のうま味をベースに、にんにくとしょうが、唐辛子の辛みを効かせたビネガーソースの酸味に、ローズマリーやガーリックを加えたスパイスを配合。スパイスにより香りが引き立ち、魚料理を楽しめるのが特徴だ。

 とくにビネガーソテーについて経営企画部商品サービスグループの外山浩二次長は、「魚の切り身は購買頻度が高いにもかかわらず、お客様ができる調理メニューが少ない。ビネガーソテーの発売で、サバやブリ、鮭など家庭によくある旬の魚を簡単に美味しく食べられるメニューを提案したい」と力を込める。

だしとスパイスの魔法 こんがりスパイシーチキン
同 旬の魚でビネガーソテー

 プロモーションでは、商品開発に加わった速水氏を昨年に続いて起用。テレビCMを4月中旬より放映開始するほか、19年に開設した速水氏の公式ユーチューブチャンネルでだしとスパイスの魔法シリーズを活用した調理動画が順次公開されている。SNSでは、30~40代の女性をターゲットに設定し、ユーチューブやフェイスブック、インスタグラムに広告を出稿し、購買率向上を狙う。

 店頭での販促では、専用什器を用意する。外山次長は、「一度ご利用いただくと商品の良さを理解いただけるのでリピート率が高い。もっと多くのお客様に知っていただきたい」として、鮮魚売り場などでも魚を使ったメニュー提案も積極的に展開し、認知度と購買意欲の向上を図る。

ソフトふりかけのパッケージを消費者目線で刷新

 メニュー専用調味料のラインアップ強化とともに、ソフトふりかけシリーズ「鶏そぼろふりかけ つゆの素風味」「牛そぼろふりかけ すき焼き風味」「鮭そぼろふりかけ」(各130円税別)のパッケージを刷新した。同シリーズはじっくりと丁寧に釜で炊き上げた、具材を感じられる、しっとりしたふりかけだ。いずれも保存料を使用せず、そのままご飯にふりかけたり、弁当やおにぎり、料理のトッピングや調理素材として、幅広く使えるのが特徴だ。にんべんの調査によれば、食感や具材感を理由に購入されていること、パッケージでの味や製法の伝わりやすさ、ソフトな食感から混ぜ込みおにぎりで使いやすい点が支持されていることが判明。これらの魅力がさらに伝わるパッケージへの刷新を決断した。

 新しいパッケージは消費者目線で制作したのが特徴だ。にんべんのふりかけと他社製品ユーザーの合計480人に対しアンケートを実施。ソフトふりかけは釜でしっかり炊き上げられているのが好評であることを受け、「釜炊き」をより強く打ち出した。乾燥ふりかけと違う点を明確にするべく、「しっとり」をパッケージ右側に配置して強調。さらに、美味しさを最大限表現するため、立体的な写真を使用することでふりかけの粒感が伝わるようにしたほか、シズル感を損なわないようにテキストの配置にもこだわっている。ユーザー目線で構成されたパッケージを店頭で訴求することで、需要喚起につなげる方針だ。

 にんべんは素材にこだわったメニュー提案と簡単に調理できる高い利便性で、増加傾向にある簡便調理ニーズに応え、調味料やふりかけ市場の活性化を図る構えだ。

しっとりソフトふりかけ 鳥そぼろ つゆの素風味
同 牛そぼろ すき焼き風味
同 鮭そぼろ
外山浩二経営企画部商品サービスグループ次長