液体だしの価値をターゲット層に訴求
鰹節専門店のにんべんが新たなチャレンジに乗り出した。同社の家庭用事業の2021年12月までの売り上げは、20年の巣ごもり需要の反動から99.4%と前年を下回ったが、コロナ前の19年比では101.3%と上回っており、内食需要をしっかり取り込んでいる状況だ。
そこで22年春夏の新製品発表会では「強みのだしを提案していく」(髙津伊兵衛社長)と強調。3月1日発売の注力商品「ぎゅ〜っとポーションだし」を打ち出した。にんべんで初めて密閉度の高いポーション容器を採用し、面倒な計量をせずに、調理に必要な量が出る。使い切りで洗い物を減らせるほか、いつでも開けたての風味を楽しめる。
味は国内製造の鰹節と北海道産昆布を使用した「かつおこんぶだし」と、国内製造のいわし煮干しと鰹節・さば節を使用した「いりこかつおだし」の2種類をラインアップ。基本だしとして使えるほか、電子レンジによる調理にも対応。パッケージには液体ならではの使いやすさとして、オイルとあわせてサラダのドレッシングやお好み焼きなどの粉物料理の下地への活用などを提案。QRコードも表示し、豊富なレシピを紹介している特設サイトへの誘導を図る。
ターゲットは30〜40代女性で、液体だしを使ったことがない層を想定。時短や簡便性を重視しながらもおいしく調理したいニーズに対応する。外山浩二経営企画部商品サービスグループ次長は、「液体だしに馴染みのないお客様にとっても使いやすい商品設計を採用。手頃な価格で、広く使う機会を提供しています。液体だしの価値を知っていただき、瓶タイプの『濃い味だし 鰹節』に購入移行を促したい」と力を込める。店頭では同社の主力商品「つゆの素」(1L)にレシピ付きのサンプルを首掛け展開するほか、店頭にPOPを掲示して活性化を図る。
またストレートのスタンディングパウチタイプの「そばうどんつゆ」シリーズに「おろし入り」を追加。同商品は20年3月の発売から1年で取り扱い店舗数が約7倍と広がりを見せていることからラインアップの拡充を図った。
容量は200mlの使い切りタイプで、余らせることなく手軽につゆを楽しめる。国内製造鰹節のほか、さば節、宗田鰹節、北海道産昆布の四つのだしを使用。具材感たっぷりの国産大根おろしの風味が麺のおいしさをより引き立てる。そばやうどんのほか、つけ汁、かけ汁、天つゆや煮物などにも使用できる使い勝手の良さも訴求していく。