特異な事業構成が業績を支える
ポートフォリオ戦略の成果が出た。前期(2020年3月期)バローホールディングス(HD)の業績は、それを如実に示すものだった。主力のスーパーマーケット(SM)事業の営業利益は、前期比4.1%減。急ピッチで開業を進めるスポーツクラブ事業の営業利益も開業費用の先行投資と、3月の営業自粛が影響して、前期比17.3%減に沈んだ。だがこのハンデを越えて、バローHDの業績は、営業収益で25期連続の増収、営業利益、経常利益とも2期連続の増益達成の実績を上げた。それを可能にしたのは、ホームセンター事業のM&Aによる規模拡大。そして成長業態ドラッグストア事業の寄与にある。
バローHDは、SMに留まらない多彩な事業を展開している。すでに見たように、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなどに加えて、製造小売業への進化を目指すところから、調達・製造、物流といったインフラの構築にも力を入れてきた。さらにSM事業ではM&Aも多発。タチヤ、食鮮館タイヨー、公正屋、フタバヤなどを子会社化。生鮮食品の調達、販売ノウハウの取得、共有にも努めている。かつて、田代正美会長兼社長は、「うちの本部(岐阜県多治見市)と展開地域は田舎だから、何でも自前で作らねばならなかった」と語っていたが、それが他に類を見ない特異な事業構成を築くこととなった。