新型コロナウイルスの蔓延によって、マスクをはじめとした衛生用品全体の品質維持と安定供給体制が課題となっている。こうした状況下で、国内の衛生材料関連製造企業186社(正会員)が加盟する一般社団法人日本衛生材料工業連合会(日衛連)は6月18日に第82回通常総会を実施。厚生労働省・経済産業省の支援を受け、自主基準をベースとしたマスクのJIS(日本産業規格)化の原案を作り、今年度中に提出する計画を発表した。
日衛連では通年商品としてマスクの市場が急拡大している中で、公的な基準の運用体制を整え、品質が担保された健全な市場拡大を促す。日衛連会長の高原豪久ユニ・チャーム社長は、「コロナ以前以後で社会は変わった。衛生用品業界に対する需要や効果効能の社会的責任、注目度も高まっています」と述べた。
また新たな役職理事3名の選任も発表された。日衛連副会長・全国救急絆創膏工業会会長には高津敏明ニチバン社長、日衛連常任理事には澤田道隆花王社長、一橋俊司ハクゾウメディカル社長がそれぞれ就任した。
インバウンド消費の影響について澤田花王社長は、「我々は来年、日用品に関してインバウンド消費はゼロとして計画を組んでいる。新型コロナの陰性証明を出すとなるとインバウンド客が戻るのは相当時間がかかる、それでプラスで戻った部分に関してはプラスの売り上げになる。特に化粧品に関してはこのゼロの計画を組んだ。インバウンドは考えずに、しっかりした商品を販売することでコロナを乗り切り、商品の技術を世界に広げることが使命です」と語った。さらに高原ユニ・チャーム社長は、「流通チャネルではオンラインの購買者が増加している一方で、オフラインのリアル店舗の購買も変化。家の近所のリアル店舗の再評価につながっている」と指摘した。
マスクの生産数量(日衛連加盟企業など国内生産・輸入)は昨年度64億枚(2018年度が55億枚)まで増加している(日衛連調べ)。日衛連への入会希望も4月20日以降だけで300社を超えており、すべての企業の事業内容を確認した上で案内を出す。新規でマスクの製造・販売・輸入販売する企業に関しても粗悪品防止のためすべての問い合わせに応じる。新型コロナの第2波の到来も懸念される中で業界として医療機関や政府、一般消費者など社会全体からの要請に応じるための体制強化に努めていく構えだ。
(冒頭写真は日衛連会長の高原豪久ユニ・チャーム社長)