廃プラリサイクル後進国へ成り下がる

 プラスチック(プラ)を多用する企業への消費者の視線が年々厳しくなっている。プラスチックごみ(廃プラ)が世界中で大きく取り上げられ、問題視されているのは、海洋汚染などの深刻な環境破壊の原因となっているからだ。漂流するレジ袋を飲み込んで死んでいるクジラやジュゴン、ストローが鼻に入った海ガメ、漁具に絡まる魚鳥などの写真や動画が次々とネット上に投稿され話題になった。

 こうした流れを受けて、レジ袋や包装容器などの廃プラの削減、脱プラスチックへの気運の高まりは国や企業を巻き込んでグローバルな動きとなっている。

 2050年までに海洋中の廃プラの量が魚の量を超えるとの試算もあり、待ったなしの対応策が求められている。遅まきながら政府(環境省)は廃プラの排出量を30年までに25%削減する目標を掲げた。

 EUは20年末までに使い捨てプラ製ストロー利用の禁止、主要都市スーパーでプラ製レジ袋の配布の禁止、25年までに都市部の出前に使用されるプラ製容器の量を現在より30%減らす方針を示し、廃プラ国の汚名返上に躍起になっている。

 国内企業も動き出し、廃プラの再利用拡大や石油由来のプラスチックからの転換を模索する飲料メーカー(サントリーホールディングス〔HD〕、日本コカ・コーラ、キリンHDなど)や日用品(P&Gジャパン、花王、ライオン、資生堂など)、調味料の各メーカーもプラ削減目標を環境報告書などに明記している。環境や社会への配慮を評価基準にするESG(環境・社会・企業統治)投資の広がりや欧米先進国の若年層に急速に浸透するエシカル(倫理的)消費の高まりに背中を押された形だ。

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