業績見通し見送りの前代未聞の決算が相次ぐ
新型コロナウイルスの感染拡大が、GMSを主力とする大手スーパーの業績を直撃している。今年3月の既存店売上高前年比は、イオンリテールが92.9%、イトーヨーカ堂が90.5%(テナントを含む)、イズミが87.8%、イオン九州が93.9%と、いずれも大幅な減少。外出自粛、営業時間短縮、娯楽コーナー閉鎖などの影響が出たためで、4月以降はその影響がさらに大きくなるのは間違いない。緊急事態宣言を受けて、イオン、ヨーカ堂がSCの専門店街とGMS内の専門店を全面的に臨時休業にした他、ユニー、イズミ、平和堂などもテナントの時短や一部休業を実施しているからだ。
GMSの直営売り場は時短か通常通りで営業しているが、外出自粛で衣料品、化粧品の売り上げが激減。部門ごとの月次を公表しているPPIH傘下のユニーは、3月の時点ですでに衣料品の売り上げが既存店ベースで78.2%に沈んでいる。
食品、住居も駅前店は内食需要や紙製品、除菌グッズ、さらには在宅生活を快適にするための家庭用品、座布団などのコロナ特需を取り込んで好調に推移しているが、郊外SCは遠出や人混みを避けたい心理でお客が減っており、恩恵より打撃の方が大きい。
外出自粛が強まった4月は、この郊外SCの客数減少と衣料品の落ち込みがさらに顕著になっており、各社の月次がかつて経験したことのないものになるのは必至。「これが5月、6月も続けば、テナントの撤退も相次ぐ」との声が関係者からは聞こえるが、感染拡大が続く現時点で外出自粛が解除される見通しは全く立っていない。