「あったらいいな」の小林製薬。紅麹の不祥事にはびっくり。と同時にかつて取材に赴き、あったらいいなが生み出す商品開発に随分親しみを持っただけに残念な思いがした。被害に遭われた方々がお気の毒なことは言うまでもないが、社員の当惑、意気消沈もいかばかりであったか。それは不祥事を二度と起こしてはならないという強い思いにも通じる。(インタビュアー・栗田晴彦)
被害補償最優先は今後も変わらない
――小林製薬再生の任務を負って、今年3月、社長に就任しました。どんな思いで引き受けたのですか。
豊田 昨年3月来、皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、まず改めてお詫び申し上げます。弊社では現在、被害に遭われた方と損害を受けられた企業様への補償を最優先で行っておりまして、これは今後も変わることはございません。誠心誠意対応させていただくことで、何としても信頼を回復しないといけないと思っています。そういう中で社長を拝命したわけですが、戸惑いがあったのは事実です。私で本当に務まるのかなと。しかし私には小林製薬に育ててもらったという気持ちがあり、強い愛社精神も持っています。小林製薬はいい会社だと思ってここまで来ましたので、もう一回いい会社に立て直したい。その一心で引き受けたというのが、正直なところです。

















