2025年の園芸薬品市場は、17年以来8年ぶりとなる春先の天候不順に加え、夏の猛暑もあり、園芸ユーザーの活動が抑えられたことから、通年で98%と微減の着地となる見込みだ。

 ただ、フマキラーは中期的には成長市場と見ている。10月に開催された26年度の園芸用品政策共有会で、大下一明社長は、「園芸市場は今後も力強く拡大する」と自信を示した。理由の一つは団塊ジュニア世代の園芸市場への参加にある。人口のボリュームゾーンであるこの世代が数年後に還暦期を迎え、時間に余裕ができることにより、新たな趣味として園芸を始めることが期待されるためだ。

 もう一つは27年に横浜市で開催予定の国際園芸博覧会だ。3月中旬から半年間開催予定の園芸博は、大阪・関西万博に続く国内での国際博覧会で、大下社長は、「こうした国際的な一大イベントは、既存ユーザーだけでなく、マスメディアやネットなどからの情報に触れた未経験者の関心を掘り起こし、確実に園芸人口の底上げにつながる」と強調。実際、04年に静岡県で浜名湖花博が開催された際も園芸人口の増加につながったことから、フマキラーではこの博覧会を絶好の機会と捉え、新たな市場開拓に意欲を示している。

 園芸市場の攻略でフマキラーが掲げるキャッチフレーズが「カダン感動MAX!」だ。同社は、21年に花卉種苗の供給や園芸製品の製造販売を手掛ける子会社、FSブルームを設立し、「カダン」ブランドで種苗や園芸資材の取り扱いを強化。同一ブランドで苗から薬剤までトータルで提供することで、園芸ユーザーに最大級の驚きと感動体験を提供する戦略を打ち出している。

ライトユーザーに分かりやすい一気通貫の売り場で園芸市場をさらに開拓していく

狙った先が一目でわかる「泡の除草王」を投入

 この戦略に則り、26年も新たな商品を積極投入する。まず、除草剤の「除草王」シリーズからは、「泡の除草王」と「コケ激取れ」(いずれも1L)を発売。「泡の除草王」は泡スプレータイプの除草剤で、泡で雑草を包むことでムラなく枯らすことができるというもの。石畳やアスファルト、ブロック塀のすき間などに生える雑草をピンポイントで狙えるうえ、泡状なので除草剤をかけた場所がわかりやすいことから、雑草以外に薬剤がかかることも防げる。加えて最短10分で枯らすという速効性も特長だ。

 一方「コケ激取れ」は、コケ専用の除草剤で、外壁や玄関先などにはびこることがあるゼニゴケなどのコケ類や緑藻、地衣類に効果を発揮する。コケ対策の商材の多くは農耕地を対象にしていないが、この商品は食品成分100%という安全性に加え、特定防除資材のため、花壇や植木鉢の中など、植物のまわりにも使用できる点が強みだ。コケ対策商品は一般的な除草剤ほどの市場はないが、コケが付着した壁や床は見た目が悪いだけでなく、傷みにもつながるため、同社では、手軽にコケ対策ができる商品として訴求することで潜在需要の掘り起こしにつなげる構え。

左から「除草王」シリーズの「泡の除草王」と「コケ激取れ」(いずれも1000mL)

 このほか、新しい容器も導入する。除草王シリーズの「ザッソージエース」(4.5L)で初めてエコパウチを採用。詰め替え用商品のエコパウチは珍しくないが、今回発売するのは、エコパウチに取っ手やシャワーノズルを付け、詰め替えずにそのまま使えるというもの。従来のハードプラスチック容器に比べプラスチックの量を74%削減でき、使い終われば丸めて捨てられる。地球にやさしく、使い勝手もいい商品としてアピールしていく。営業企画部の大瀧修司氏によれば、取引先の反応もよく、「このパッケージだから扱いたいというドラッグストアもある」という。今や環境対応は小売業でも欠かせないテーマであり、環境負荷軽減の商品への潜在ニーズは高そうだ。

除草王シリーズの「ザッソージエース」(4.5L)

 薬剤に加え、苗類の取り扱いも拡大する。前述の通り、フマキラーグループは、子会社のFSブルームで花の種苗の取り扱いを強化しているが、26年は新たに野菜苗の取り扱いも始める。「たくさん獲れるトゲなし楽々ナス」「とびきり甘い高糖度ミニトマト」など、一般的な野菜苗とは一味違う5品目をラインアップし、楽しみながら育てられる環境を整えた。

 さらに苗を育てる土のリサイクル材も新たに投入する。フマキラーによれば、園芸に使った培養土を再利用する人の割合は46%と半分近くに上る。マンションなどの集合住宅では庭がないため、使った土を簡単に捨てることもできず、再利用せざるを得ないということだろうが、一度使った土は栄養もなくなり、固くなるため再利用は望ましくない。

26 年から取り扱いを始める野菜苗。左から「たくさん獲れるトゲなし楽々ナス」「とびきり甘
い高糖度ミニトマト」

 そこでこうした培養土を再利用する層の手助けになる商品として土のリサイクル材「カダン感動再生パワー」(5L)を発売する。樹皮を発酵させて作ったたい肥に、土壌フローラを改善する放線菌入たい肥「RC100」やミネラル補給のための牡蠣殻、植物がおいしくきれいに育つアミノ酸を配合。古い土に混ぜるだけで土がふかふかになり、植物の栽培に適した土に戻るという、園芸愛好家の困りごとの解消につながる商材だ。ちなみに展示会では、パッケージデザインへのバイヤーの評価が高かったという。前面に大きく書かれた「よみがえる土のチカラ」の文字により商品の機能が一目で伝わる点が評価されたようだ。

土のリサイクル材「カダン感動再生パワー」(5L)

猛暑の乾燥ストレス対策に「カダンお酢でまもる」を提案

 動物用対策剤では新たにヘビの対策剤「ヘビフマキラー」(900g)を発売する。ヘビが天敵に襲われた際に発する警戒臭に含まれる「オクタン酸」を配合することで、ヘビが危険を感じ近寄らなくなるというもの。家庭用ヘビ忌避剤に警戒成分を配合するのはこの商品が世界初だという。アオダイショウやシマヘビなど日本に生息する主要なヘビ5種類に加え、トカゲにも忌避効果があり、効果は最大1.5カ月持続するほか、雨にも強い。

 フマキラーでは、動物用対策剤を重点分野と位置付け、これまで「コウモリバリア」やネズミ対策の「ドラシリーズ」を展開してきた。今回新たに「ヘビフマキラー」を投入することで、「コウモリバリア」や「ドラシリーズ」と組み合わせた売り場の提案にも取り組みたい考えだ。春から初夏の4、5、6月、ヘビの発生がピークになる時期に「ヘビフマキラー」を陳列、その後夏には「コウモリバリア」に切り替え、10月以降からはネズミ用対策商品を陳列することで、1年を通じて動物用対策剤売り場を活性化する。

 不快害虫駆除剤では「アリカダン粉剤」(660g、1.1kg)と「ムカデ粉剤」(1.1kg)の新処方商品を上市する。いずれも3種類の薬剤を配合した独自処方で、殺虫の速効性を高めたほか、撥水成分を従来の2倍に増やし、雨や散水にも強くしたことで、水を撒くことが多い花壇や芝生でも使いやすくした。

左から動物用対策剤の「ヘビフマキラー」(900g)、不快害虫駆除剤の「アリカダン粉剤」(1.1kg)と「ムカデ粉剤」(1.1kg)

 新商品以外では猛暑対策品の訴求に力を入れる。ここ数年、夏の猛暑が年々深刻になっており、園芸でも対策が求められていることから、フマキラーでは、園芸用殺虫・殺菌剤の「カダンお酢でまもる」の利用を促進する構え。これはお酢を原料とした100%食品成分の特定防除資材。大瀧氏によれば、「業界で唯一、お酢による乾燥ストレス軽減効果が確認された殺虫・殺菌ハンドスプレー」だという。同様に液肥の「カダン感動肥料」の原液でも乾燥ストレス軽減効果が確認されていることから、これらを併せて「乾燥ストレス対策商材」として打ち出す。「猛暑は誰もが経験しているだけに、対策ができる商品は消費者の受け入れ性も高い」(大瀧氏)としてアピールしていく構え。

1段目・2段目には「カダンお酢でまもる」、3段目には「カダン感動肥料」を置き、猛暑対策品の訴求に力を入れる

 フマキラーは、24年から肥料・活力剤分野に注力し、カダンブランドのラインアップを一気に拡充した。26年も園芸のトータルブランドとしての強みを生かし、幅広いニーズに対応、園芸ユーザーの「感動MAX!」を実現することで新たな市場の創造につなげていく方針だ。