トライアルホールディングス(HD)の関連会社であるRetail AIとNTTグループのNTT AI-CIXは7月8日、合弁会社「Retail-CIX」の設立を発表した。POSデータを活用した高度な需要予測と、業務プロセス間の連鎖型AIエージェントを用いたサプライチェーン最適化などのサービスを提供し、小売・卸企業、メーカーへの導入拡大を目指す。

 トライアルHDとNTTは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化実現に向け2024年1月に連携協定を締結。協定締結により両社傘下のRetail AIとNTT AI-CIXは、製・配・販において見えづらかった需要・発注・在庫・棚割・物流・店舗作業といった一連のプロセスを、AIとデジタルツイン技術を用いて可視化・最適化する取り組みを進めた。店舗における実証実験を行い、以下のような成果を上げた。店舗作業コスト削減(例:▲20%)、店舗在庫の圧縮(例:▲20%)、発注の波動緩和による物流の平準化と効率化(例:▲10%)、発注精度向上による欠品削減・廃棄削減(例:▲5%)など。この最適化効果は小売業に留まらず、卸売業・メーカーと連携することにより、生産・出荷計画の合理化、製造現場の作業平準化と残業削減、返品率・廃棄率の大幅削減など川上への波及効果も得られる見込みだという。

 こうした成果を広く展開するために、NTT AI-CIXとRetail AIはRetail-CIXを設立し、以下のサービスを提供する。

·小売業向け:自動発注、棚割最適化、業務負荷軽減

·卸売業向け:小売業と連携した需要予測による在庫最適化コントロール

·メーカー向け:小売業と連携した生産・出荷計画最適化

 今後の展開としては、複数の製・配・販企業との連携を予定しており、既存の業界慣習による構造的な課題を、連鎖型AIエージェントを用いて解決する革新的なサービス創出と導入拡大を目指す。