2024年の訪日客数はコロナ前の19年を超え3600万人を突破した。今やインバウンド市場はアパレル産業と同じ8兆円規模へと成長している。中で各業界ではコロナ前のような来日時の一時消費を促す戦略から脱却し、次の商売につなげる顧客化戦略へと舵を切り始めている。本連載では、こうした業界の動きを展望しつつ、インバウンドのその先を見据えた取り組みをリポートする。
新ECサイトに国内初の「免税購入機能」を導入
インバウンドの聖地・銀座の一等地に店を構える「松屋銀座本店」は、11時の開店から一気に慌ただしくなる。アナウンスと同時に扉が開くと、列を成して待ち構えていた訪日外国人客が館内へ流れ込むからだ。客層は中国を筆頭にアジアが多いが、欧米のファミリー客も少なくない。
松屋銀座本店のインバウンドの売上高は全国の百貨店の中で3番目、東京で2番目に高い。さらに2024年度上期は過去最高を更新し、総額売上高631億円のうち半分を免税売上高が占めた。