需要に応え冷凍ゾーンを拡大

 全国スーパーマーケット協会が主催する「第60回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2026」が2月18~20日の3日間、千葉市の幕張メッセ全館で開催された。60回の節目を迎え、来年からは2月と7月の年2回開催に移行することから、現状の出展カテゴリーでの開催は今回で最後となった。

 SMTSはスーパーマーケットを中心とする食品流通業界に最新情報を発信する、BtoB向けの商談展示会だ。今回も、同じく協会主催の中食産業(惣菜)に特化した商談展示会「デリカテッセン・トレードショー(DTS)2026」、食品産業センター主催の「第21回こだわり食品フェア2026」と同時開催となり、3日間の来場者は80022名と、前回よりも3617名増えた。SMTSの出展者は食品・日用品メーカー、卸、資材関連、店舗開発、情報サービスなどの小売業関連企業や地方自治体などで、2151社・団体、3671小間が出展。このうち地方メーカーは全国各地から1400社以上、海外からも17カ国、99社・団体、132小間が出展した。ことスーパーマーケットのバイヤーからは、一度の来訪で全国各地の商品を見て、試食して、商談までできる効率の良さが評価されている。来場者の増加はそれを端的に示していると言えよう。

会場の様子

 ゾーニングの点では、前回まで「食のトレンドゾーン」の一企画であった「冷凍」ゾーンを常設に昇格。スーパーマーケットの冷凍関連売り場の拡大と売り上げ増、時短・簡便ニーズの高まりを受け、規模を拡大した。あわせて主催者企画として、ご当地の食材・メニュー・食文化を生かした冷凍食品「ご当地冷凍食品」の展示コーナーを展開。ご当地冷凍食品を審査・表彰する「ご当地冷凍食品大賞」主催・一般社団法人未来の食卓が協力し、1月に発表した「第2回ご当地冷凍食品大賞」を受賞した商品の紹介や、SMTS出展者のご当地冷凍食品のピックアップ展示を行った。グリーンズ北見(北海道)の玉ねぎが主役のコロッケ「たまコロ」や、つむぎや・土田物産(埼玉)の小麦やネギなどの素材を埼玉産にこだわった「埼玉小麦のお好み焼」、小林果園(愛媛)の小玉みかんを丸ごと使った大福「しずく珠」などが紹介され、来場者が足を止めて商品を手に取っていた。

冷凍ゾーンではSMTS出展者の「ご当地冷凍食品」のピックアップ展示も行われた

 主催者企画の「セミナーステージ」では、2月18日の合同開会式後、横山清・全国スーパーマーケット協会会長(アークス会長)が恒例の「SMTSスピークス」に登壇。「第2次流通革新〜三つの新〜・新インフレ・新参入・新価格体系」をテーマに、講演した。横山会長は、「従来とは異なる『新型インフレ』が進行し、道内ではGMSの勃興を経て、今は大手が撤退した後に低価格業態が入る『新参入』のフェーズに突入している」と現在の経営環境を分析。「お客様がディスカウントを求めている部分もあるので、新参入の企業とも〝共進〟していく」と決意を語りつつも、価格については「生産者の都合だけで決めては消費者に受け入れてもらえないし、片や消費者が望む価格では生産の継続が不可能になってしまう」と指摘。「再生産が可能で、お客様にも納得いただける『新価格体系』を構築していく必要がある」との提言で講演を締めくくった。

「SMTSスピークス」に登壇したアークスの横山清会長は、「第2次流通革新〜三つの新〜・新インフレ・新参入・新価格体系」をテーマに講演

物流に改善活動、盛りだくさんのセミナーステージ

 このほか、協会の会員小売業とソリューション企業が共創しながら未来のスーパー像を研究するプロジェクト「Future Store“NOW”」では、「2050年への羅針盤〝地域密着スーパーマーケットが勝ち続けるための100の問い〟とは?」と題し、2050年に向けた示唆をデロイトトーマツパートナーの三宅佐衣子氏が語り、プロジェクトの取り組みと「地域密着スーパーマーケット向け将来を見据えた経営診断プログラム」を協会の村尾芳久事務局長が紹介した。

 改正物流効率化法により、今年4月からCLO(物流統括管理者)選任の義務化が始まることなどを踏まえたパネルディスカッションでは、「食品小売物流最前線~新物効法施行で見えた実態と展望~」と題し、経済産業省、西鉄ストアの物流担当者、物流サービス事業者などによる議論が行われた。

 今年で8回を迎えた協会会員企業による改善活動成果発表大会では、原信、ライフコーポレーション、マミーマート、マルト、フレスタホールディングスなど9社がそれぞれの取り組みを紹介。原信は「まぐろ分類の売上高向上」施策を発表。競合店の品揃えや商圏内の客層分析から平日・週末の品揃えを仮説検証することで、分類全体の売り上げの底上げにつなげた。ライフではサテライトキッチンにおけるカイゼン活動を紹介。ベトナム国籍従業員とのコミュニケーションが十分でなかったことから、日本語の理解度が高い従業員をリーダーに任命して社員との橋渡し役に据えるとともに、作業改善に取り組むことで働きやすい職場を目指したという。

 他にも、ひめこカンパニーの山下智子代表による「2026年食市場のトレンド」や、「2026年版スーパーマーケット白書」発行に合わせた解説など、セミナーステージは盛りだくさんの内容だった。

国分にイシダ、来場者を引き付けた注目ブース

 出展ブースでは、各社が最新の提案で多くの来場者を引き付けた。国分グループ本社は今回、SMTSとDTS、それぞれの会場にダブル出展した。SMTSでは新たに始動する第12次長計ビジョン「食の価値循環プラットフォーマー」に沿って、従来の「商品」「卸機能」「地域」「パートナー連携」を融合させたサプライチェーンの全体最適を提案した。海外拠点をハブとしたコスト競争力のある輸入商材調達の提案や、低温事業の潜在的な課題を可視化する機能提案ブースに注目が集まったほか、昨年グループ入りした滋賀県の酒類卸「エスサーフ」が初出展し、滋賀の伝統や名物に絡めて地酒を紹介した。DTSでは「港デリ」「農園デリ」「牧場デリ」を切り口に産地訴求型デリカを提案。またバックヤードの人手不足対策として、全自動で調理から洗浄まで行うロボット回転釜「オムニ」の実演を行った。

国分はSMTSとDTSにダブル出展。従来の卸の枠にとどまらない提案で存在感を示した(写真はDTSのブース)

 イシダで注目を集めていたのが、本部の棚割り計画と実際の店舗の棚情報をつなぐロケーション管理システム「Nebular Ultra」だ。電子棚札を付けるレールのRFIDが棚札の位置情報を取得し、本部の計画情報を棚札に表示させるため、現場ではその表示通りに商品を並べるだけで棚替えが済み、作業時間を短縮できる。逆に店舗側が棚割りを変更する際にも、棚札を移動させるだけで本部側の陳列データに反映されるため本部への説明が不要になるといった代物。このほかにもAIを活用した値付けラベル貼り付け間違い防止機能や、計量包装時に商品画像を撮影することで個品のトレーサビリティを実現するなど、食品の安全性を重視した取り組みも多数紹介した。

イシダはAIを活用し、値付けラベル貼り付け間違いを防止する機能を紹介

 このほか、過去にあまり見られなかったメーカーも出展。キッコーマンは肉にも野菜にも相性が良い「かけるたまねぎ」と、果物100%すりおろしパウチの「ピュレフルーツ」を紹介し、サンプリングを実施。初出展のにんべんは、百貨店から量販店、惣菜店でそれぞれ展開する幅広い商品ラインアップを紹介するとともに、鰹荒節、さば節などを展示。本枯鰹節の削り体験も行った。

会を重ねるごとに国民生活を豊かにしたい

 「DTS2026」では、恒例企画の「お弁当・お惣菜大賞2026」を今回も開催。日本全国からエントリーされた弁当、惣菜、サラダ、麺、丼、おにぎり、寿司、パン、スイーツに加え、定番商品のコロッケを含む10部門の中から優れた商品を選出するアワードで、今回は15489件がエントリー。従来は各部門で「最優秀賞」「優秀賞」「特別賞」「入選」の4つの賞を決定してきたが、今回から弁当部門に「健康長寿賞」を新設。コロッケの最優秀賞には、かとりストアー(長崎)の「島原芳寿豚使用ヘルシーおからコロッケ」(税別298円)、弁当の健康長寿賞には丸大(沖縄)の「沖縄風三色重」(498円)が選ばれた。

「お弁当・お惣菜大賞2026」の授賞式

 会場内では受賞商品の展示を行ったほか、商品の一部はフードコートで販売・喫食する機会も提供。また店内調理の導入提案として、スチコンを使った料理を来場者に体験してもらう「食べくらべ体験STAND」では、パスタメニュー3種類を提供した。

受賞商品のパネル展示も行われた

 SMTS60回を契機として、全国スーパーマーケット協会は27年から、SMTSを2月と7月の年2回開催に移行する。多くの出展要望に対し、実際に用意できる小間数に限界が生じているためで、2月開催に加え、7月には生鮮(農産・畜産・水産)、惣菜(デリカテッセン・トレードショーからスピンアウト)、および設備・資材やサービス・IT支援・ロジスティクスなどの企業が出展する「SMTSフレッシュソリューション」を開催する。場所は幕張メッセの1~3ホールで、開催期間は7月28~30日の3日間。逆に2月は生鮮以外の食品と、設備・資材および店舗開発・販促ゾーンとなる。開催場所はこれまで同様、幕張メッセ全館で、開催期間は2月17~19日の3日間を予定している。ちなみに「お弁当・お惣菜大賞」は年2回開催となる予定だ。

 合同開会式で挨拶に立った横山会長は、「来年から展示会を2回開催する。リスクはあるけれども、世界に冠たるBtoBの食品展示会にしたい。この先、会を重ねるごとに国民生活が豊かになっていく、そんな希望と自信を持っているので、今後とも宜しくお願いします」と抱負を語った。全国スーパーマーケット協会にとって来年は大きな挑戦の年となる。(本誌・加藤大樹、中村秋紀)

(冒頭写真 開会式でテープカットを行う横山清・全国スーパーマーケット協会会長(写真上前列中央左))