12月23日開催の「スーパーマーケット統計調査」記者会見に登壇した岩崎高治日本スーパーマーケット協会会長(冒頭写真)は、2025年に協会として力を入れた取り組みとその成果について発表。2026年に向けては、「年収の壁」の問題や物流・サプライチェーンの合理化に引き続き取り組むとともに、デジタル・IT分野で協調を一段強める旨を表明。加盟社からはRFIDの研究に対する関心が高まっており、具体的な取り組みを検討していく姿勢を明らかにした。

景気は上向きを維持も消費の二極化・コスト高が深刻化

 長らく続いたデフレ経済が完全にインフレに転換し、景気という意味では引き続き強気に見ている。トランプ関税の影響は思ったほどではなく、また高市早苗新政権が相当な額の補正予算を組んだこともあり、為替の円安が止まらないことは気になるものの、景気全体として決して落ち込むようなことはないと考えている。

 ただ、名目賃金が上昇する一方で、実質所得が物価を上回るには至っておらず、家計の購買力には地域や世代間で差が残っている。給料がきちんと上がっている方、あるいは資産をお持ちの方が潤っている一方、賃金の上昇が追いつかない、あるいは年金暮らしの方等々、物価高が生活を直撃している面もあり、二極化が広がっている。

 スーパー業界としては、単価アップは引き続きの傾向と見るが、25年はコメが相当程度押し上げた。特に後半。これがどうなるか。足元はまだ高止まりしているが、価格が下がってくるだろうという見方もあり、そうなると今までのような数字の作り方は難しくなる。ここに人手不足とコスト高騰という問題も立ちはだかる。やはり顕著なのはコストで、これはライフコーポレーションの話になるが、今朝会議をやっていたら、建築コストが、あるいは不動産コストが当初の見込みから大幅に上がると。結果、当初計画から投資回収が延びるという状況が如実に出ている。新店オープンも今まで通りにはいかなくなっており、これにより規模拡大・効率化を目的とした業界のM&Aも一段と進展していくと見ている。

「年収の壁」見直しで働き控えは減るか、効果検証が重要

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