三井不動産傘下のベンチャー企業・ミタセルジャパンが運営する取り寄せグルメサービス「ミタセル」が事業領域を拡大している。

 2023年に三井不動産の新規事業としてスタートしたミタセルは、食料費の高騰や人件費の増加等による飲食業界の課題解決を目的にサービスを開始した。プロの料理人が全国の名店メニューをレシピ通り調理し、それを冷凍食品として販売。契約店舗は、ミタセルにレシピ提供や商品開発支援を行う代わりにのれん代が入るため、店舗以外の収益源を確保することができるというもの。この仕組みが評価され、今年11月現在、商品ラインアップはスタート時から倍以上となる全50店舗・97商品まで拡大している。

 こうした中、今年11月には、新たなソリューションとして「商品の完全買取販売(仕入れ販売モデル)」機能を実装。飲食店が製造した冷凍商品をミタセルが仕入れ、オンラインストアで販売、在庫保管・発送・顧客対応の全てを担うことで、飲食店の事業拡大をサポートするもの。松本大輝社長(冒頭写真一番右)は、「自ら取り寄せサービスを展開している店舗様でも、販路拡大やそれに伴う発送業務の負担といった課題を抱えていることがわかった」と立ち上げの背景を説明。新スキーム導入により30年までに参画店舗100店舗を目指す方針だ。

 事業拡大を支えるべく、物流体制も強化。今年9月に既存の大阪製造・配送拠点のリニューアルが完了したほか、三井不動産の物流施設「ロジスティクスパーク船橋」内に新たな商品製造・発送拠点を着工した。船橋の新拠点は、セントラルキッチンに加え、商品在庫保管が可能な冷凍倉庫スペースを備え、大阪拠点の約2.5倍の規模となる。これにより、現在6割を占める首都圏のミタセル顧客に向けたより効率的な配送を実現する。26年夏以降は、関西と関東の2拠点体制でサービスを回していく計画だ。

 さらに、EC機能では、三井不動産の資本業務提携先であるSUPER STUDIOのAIコマースプラットフォーム「ecforce」を導入。ジャンル、キーワードでの絞り込みやセット販売、頒布会、ギフト機能などを新たに実装。加えて「定期便サービス」や「ポイントサービス」を導入したほか、決済機能では新たに「NP後払い」「amazon Pay」を採用した。ミタセルジャパンはecforce導入を皮切りに、今後OMOでの新たな取り組みも協業で進めていく方針を明らかにした。