小売・飲食業の業務効率化・情報化に関する技術を集めた展示会「リテールテックJAPAN2022」が3月1日~4日の4日間、東京・有明の展示会場「東京ビッグサイト」で開催された。

 今回の出展社数は190社・団体、出展小間数730小間で、「流通業のDX」をうたった出展が多く、人手不足対策やコロナ禍により需要が高まった非接触での購買への対応、感染症対策、ネットスーパー対応などの出展が目立った。

 東芝テックは、非接触での買い物ニーズと人手不足解消の観点から、スマホを使ったセルフレジを紹介した。スマホレジ自体は、既存のサービスだが、今回は、1店舗で対応できるスマホの台数を従来より増やして出展。スマホレジの普及が進む中、利便性を高めた点を訴求した。また、昨年5月に業務提携したTOUCH TO GOの無人決済コンビニシステムも展示。このシステムの販売にも力を入れていく方針だ。

東芝テックのスマホレジ。1店舗で使える台数を増やし利便性を高めた

 店舗作業の効率化では、電子棚札の出展も多かった。その一つ、計測機器メーカーのイシダは、棚札サイズの小型のものから平台の陳列などで使われるPOPのような大判の棚札まで多様なサイズを紹介。さらに、棚札の文字もオリジナルのテンプレートを用意、手書きのPOPのようなデザインも作れることをアピールしていた。

イシダが提案した電子棚札。手書きPOPのようなデザインも作れる

 コロナ禍で需要が増えたネットスーパーへの対応として、店頭ピッキングの支援機能を提案していたのが日本ハネウェルだ。ネットスーパーの注文商品を売り場からピッキングする際、何をいくつピッキングするかをヘッドセットからの音声で指示するというもの。目視でリストを確認する必要がない分、スムーズな作業ができる点が特徴だ。

日本ハネウェルでは、ネットスーパーの店頭ピッキングを音声で支援するサービスを提案

 一方、小売業が持つ在庫データやPOSデータなど、様々なデータを一つのプラットフォーム上で運営する機能を提案していたのが、日本NCRだ。既存のシステムを活用しながら、クイックデリバリーなど、新しい機能も低コストでスピーディーに導入できる点を訴求していた。

日本NCRは、様々なシステムをクラウド上で一括管理するサービスを提案

 このほか、凸版印刷は、デジタル空間に作った店舗でバーチャルショッピング体験ができるサービスを提供。リアルとバーチャルを融合したECへの関心が高まる中、こうしたサービスも注目されそうだ。

凸版印刷は、オンラインにバーチャル店舗を設け、リアルと同様の買い物体験ができるサービスを紹介していた

 4日間の開催期間中の累計来場者数は、約5万人。コロナ下で変わる流通業の環境にテクノロジーでどう対応するか。業界関係者の関心も高かったようだ。