三井不動産は6月25日、加工食品販売会社「mitaseru JAPAN(ミタセル ジャパン)」を設立したと発表した。

 新会社では、取り寄せグルメサービス「ミタセル」を軸に事業を展開。海外への輸出も視野に入れており、2030年に事業規模50億円を目指す。

 ミタセルは昨年4月に三井不動産が新規事業として立ち上げた〝厳選取り寄せグルメ〟プラットフォームだ。プロの料理人が全国の名店メニューをレシピ通り調理し、それを冷凍食品として販売するというもの。サービス開始から1年、利用者や参画企業から高い評価を得たことからサービス本格化を決意。事業を切り離し新会社を設立した。

 契約店舗は、ミタセルにレシピ提供や商品開発支援を行う代わりにのれん代が入る。一方レシピを受けとったミタセルは、商品調達から調理し冷凍、発送まで行いお客から商品代金をもらう。

 同日開催された記者会見で、ミタセル ジャパンの松本大輝社長(冒頭)は、飲食店舗の人手不足による倒産を指摘。朝は仕込み、夜は閉店後の後片付けなどの労働環境の厳しさから若手確保が困難なこと、昨今の物価高の影響で人件費を縮小せざるを得ない状況などを説明した。

 ミタセルではこれら課題の解決を目指すとし、店舗以外の収益源を飲食店に提供することで、名店淘汰の道を遮ると主張した。

 これまでの参画店舗は、ミシュランガイド掲載店や今はなき名店を中心に計34店舗。コロナ下の影響を受け閉店したりんすず食堂「レモンラーメン」(東京都江東区)や博多のもつ鍋「やま中」(福岡市)などが契約している。これを26年までに100店舗に拡大する意向だ。

 ターゲットは30代と設定するも、実際の主要顧客は50代〜60代。名店の味を取り揃えたことで「上質な暮らし(味)を知る層に刺さった」と佐々木悠取締役は分析する。

 また新会社設立を機に、グループが持つアセットを生かした連携も強化。まずは千葉県南船橋エリアのリソースを活用する考えだ。

 製造と配送面での連携では、来年秋に船橋市にある物流施設「ロジスティクスパーク船橋」に製造拠点を新設。商品製造から配送まで一気通貫のサプライチェーンを構築、ターゲットエリアとする首都圏在住顧客への迅速な配送を目指す。

 販売面では、リアル施設と連携。同エリアに位置する商業施設「ららぽーと」やアリーナ「ららアリーナ 」などでも商品を販売する計画だ。松本社長は、店舗の空き状況もあるが、「3カ年中(24〜26年)には実現させたい」と力を込める。

 このほか、住居においては、既に湾岸エリア2物件で実施中の「商品自動販売機」の設置も今後拡大する意向を示した。

・以下、記者会見で紹介されたミタセルの商品 (いずれも税込み)

りんすず食堂 「復刻・レモンラーメン」1782円

博多もつ鍋 やま中 「もつ鍋セット みそ味」(1.5~2人前)3996円

オステリアブッコ ボロネーゼ「ポルチーニ茸入りボロネーゼ」1922円

che bontà(ケ ボンタ)「神戸発!本格イタリア仕込み自然派ジェラート」3種 850円