カスミは6月15日、茨城県つくばみらい市で移動スーパーの運行を開始した。市内の自動車を持たない高齢者が多い地域を中心に巡回する。
つくばみらい市の移動スーパーは月曜日から金曜日まで実施。1日11~12カ所を巡回・販売する。取扱商品は生鮮食品や日配品など約400品目。運行は市内のカスミ冨士ヶ丘店のパート社員が担当し、日販は7万円を見込む。
カスミの移動スーパーは2013年3月、本社があるつくば市でスタート。買い物弱者対策に取り組む自治体からの要望に応じて、取手市、日立市、笠間市、阿見町と運行地域を拡大し、つくばみらい市で6カ所目となる。
巡回場所の選定にあたっては、つくばみらい市が18年に実施したアンケート調査の結果に基づき、要望が多かった地区を中心にスーパーがない地域58カ所に決定。巡回場所の中には、寝たきり予防に効果がある体操を高齢者に指導する教室「地域体操クラブ」を開催する公民館などの施設が含まれている。移動スーパーが地域体操クラブの開催施設も巡回することで高齢者の参加を促し、介護予防につなげる狙いもある。
つくばみらい市の小田川浩市長は、「移動スーパーは高齢者の生活と健康を守るために重要。住民同士が顔を合わせて話ができる場として広がってほしい」と期待を寄せる。カスミの山本慎一郎社長は、「地域のお客様のライフスタイルに合わせて寄り添っていく。いずれは運行台数も増やしていきたい」と意欲を示す。
7年以上事業を続けてきた移動スーパーは採算がなかなか取れずにいたが、高齢化の進行とともに利用者が増えてきた。今年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大で「3密」になりやすい店舗での買い物を敬遠する高齢者の利用が急増し、今年1~2月は前年比110%、3~5月は同120%と伸長。「採算が取れる目処が立ってきた」(山本社長)と手応えを得ている。
開始当初は荷台に店舗を設置した2トントラックで運行していたが、車両の乗り降りが高齢者に負担となっていたことやパート社員の女性が運転することなどにも配慮し、18年から運行を始めた笠間市からは軽自動車に変更している。
山本社長は、「ローカルスーパーのカスミは、地域のお客様の意見や要望を聞きながら対応できる。つくばみらい市ならではの要望に合わせて、移動スーパーの品揃えも変えていきたい」と力を込める。地域の期待に応える移動スーパーは、コロナ禍による需要の高まりが運行地域の拡大を後押ししそうだ。
(冒頭写真:生鮮食品や日配品など約400品目を搭載するカスミの移動スーパー)