私どもは、青森県八戸市内で生鮮食料品店「やまはる」を3店舗運営しています。創業は昭和21年、私の祖父が三戸郡南部町で八百屋を開いたのが始まりです。当時は、行商人相手の卸のような仕事でしたが、父の代に八戸市に青果店を開業、その後、鮮魚や精肉などのテナントを入れ、惣菜製造も始めるなどして、現在のスーパーのような業態に転換しました。
品揃えが広がっても、祖業が八百屋なので、やはり強みは青果です。毎日市場に行き、旬の商品はもちろん、珍しいもの、スポット商品を仕入れ、ギフトから特売品までが揃う季節感ある売り場作りに努めています。
青果を使った商品開発にも取り組んでおり、「やまはる特製ふるーつサンド」のような人気商品も生まれています。もともと従業員の提案で商品化に乗り出し、当初は、「こんな高い価格設定で売れるのか」と心配もしたのですが、インスタグラムで情報発信すると次第に注目されるようになり、今では、店の前に購入されるお客様の行列ができるほどです。
専門性の高い青果の品揃えが私どもの強みですが、全国のこだわり食品の取り扱いも特徴です。一般的なスーパーさんとは品揃えの方向性、テーマ設定の仕方、関連販売の方法などを変えており、例えば、群馬県のまるおかさんの高質PBのような良質な商品、珍しい商品を扱っています。口幅ったい言い方ですが、目指すところは、“田舎の成城石井”、あるいは“田舎の北野エース”、“田舎のカルディ”です。お客様に普段の買い物のなかでもわくわくするような体験をしていただける環境を提供していきたいと考えています。

小売事業に加え、卸売事業にも取り組んでおり、ホテル、保育園、老人ホームの給食素材など、業務用の食品も供給しています。小売事業は競争も激しく、業績は現状維持から微増で推移していますが、卸事業は着実に成長しており、30年前は、全体の売り上げの5~7%程度でしたが、今は3分の1を超えるまでになり、収益の主要な柱になっています。
現在、私どもが取り組んでいるのが、“高密度型サービス経営”です。売り場面積、人員、営業時間などが限られるなか、“濃い”サービス、人のぬくもりが感じられるサービスを提供していこうという意味です。限られた売り場の中で、スタッフが工夫して“映える”売り場をつくり、それをPOPで訴求したり、インスタグラムなどSNSで情報発信したりしながら、お客様にやまはるの魅力を伝えていく。そして来店されたお客様に、「やまはるらしいな」とか「やまはるは面白かった」と感じていただける。そんな環境づくりを目指して経営に取り組んでいきたいと思っています。(5月21日、全国スーパーマーケット協会にて)