当社はブラジルへの日本食普及を目指し、1998年に創業しました。現在、三つの事業を展開しており、一つ目が日本食品のブラジルへの輸出。二つ目が国内での小売店「ブラジルストア」の経営。三つ目が在留外国人向けの食品の輸入卸です。

 輸出事業は、創業者である私の父がブラジルに渡り、そこで築いた人脈をもとに始めたと聞いています。当初は日本からの移民向けに、品質の良い日本製の食品を提供することを主としていましたが、その後ブラジルでの日本食ブームが重なり、輸出量は順調に増加。輸出品目は、醤油やふりかけ、だしのもと、わさび、カレー、焼きのり、天ぷら粉、乾麺、味噌、菓子、日本酒、茶、キッチンウェアなどに広がっています。

 輸出事業が伸び始めた2007年、埼玉県坂戸市にある商業施設内に小売店「ブラジルストア」をオープンしました。店内には精肉コーナーを設けており、お客様の要望に応じて肉をカットするサービスも行っています。また、ブラジル風のサンドイッチやパステウという揚げパイ、ポンデケージョというチーズパンなどの軽食も提供しています。

「ブラジルストア」を経営していく中で得た商品知識をもとに、09年からは在留外国人向けの輸入卸も始めました。当初はブラジル人が経営している小売店を中心に卸していましたが、19年にとあるディスカウントストア様からブラジル商材コーナー設置のご依頼をいただき、棚14本の売り場をお作りしました。ちょうどその頃、新型コロナ禍でインバウンド市場がゼロになったこともあり、その代わりとしての引き合いが急増。19年から22年の間に、北海道から沖縄まで100店舗以上のディスカウントストア様、スーパー様で棚作りを手掛けました。

「ブラジルストア」の店内の様子

 ご依頼いただいた店舗では、その地域に多い在留外国人に向けて品揃えを行います。そのため現在はブラジル商品だけでなく、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ネパール商品と取り扱いが増えています。小売り様からは、在留外国人向けの売り場を作ったことで新たな客層を獲得でき、生鮮品なども含めた店舗全体の売り上げアップにつながったとの反響もいただいています。

 少子高齢化による働き手不足から今後在留外国人はさらに増え、マーケットは確実に広がっていくでしょう。国土交通省によると、23年の在留外国人の数は322万人。65年には外国に由来する人口が1000万人を超えるとされています。異国の地で生活する外国人にとって、自分の国の食べ物はお腹を満たすだけでなく、心を満たす大切なもの。私たちは提供を続けるとともに、まだ知られていない世界のおいしい食べ物を日本国内で紹介することで、日本人にも新しい食の発見を提供していきます。(5月21日、全国スーパーマーケット協会にて)