アマゾンは年に一度の大規模セールイベント「プライムデー2025」を7月8日から11日までの4日間にわたり開催する。これまで2日間だった開催期間を倍増し、プライム会員向けに96時間にわたる特価販売を展開する計画。過去最安値となる価格で数百万点の商品を提供する予定だ。
セール対象には、ソニー、ダイソン、リビングプルーフといった人気ブランドに加え、アンウェル・ハイドレーション、タルト・コスメティクス、アウェイといったアマゾン初登場の注目ブランドも含まれる。食料品や日用品から家電、ファッション、高級品まで、幅広い商品群が揃うことが特徴だ。
日替わりの特価商品を新導入
今年新たに導入される注目の仕組みが「本日の特選セール」だ。サムスン、キールズ、リーバイスなど人気ブランドを中心に、日替わりでテーマ別の特価商品が登場する。このセールは期間中毎日深夜0時(米国太平洋標準時)に更新され、在庫がなくなり次第終了となる。また、イベント期間中は最短5分ごとに新しいディールが登場する仕組みも取り入れられており、ユーザーの購買意欲を持続的に刺激する狙いがうかがえる。
さらに今年のプロモーションでは、バスケットボール界のスーパースターであるレブロン・ジェームズ氏を起用した新たな広告キャンペーンが展開されている。ジェームズ氏は同キャンペーン内で「理容師」「料理人」「ラウンジ歌手」など、さまざまな職業に挑戦する様子を演じ、プライムデーの多彩な商品群と無限の可能性を象徴的に表現している。また、ジェームズが手掛ける「ザ・ショップ・メンズ・グルーミング・ライン」も特価対象として登場する予定だ。
そのほか、レミー、インブルーム、オネスト・カンパニーといったセレブリティブランドの商品群も特価対象となる。これらはユーザー評価4つ星以上の人気商品とともに、会員限定価格で販売される。
学生の新学期向け需要にも目配り
学生や保護者、教員向けには「バック・トゥ・スクール」や「オフ・トゥ・カレッジ」セクションも開設され、学用品や生活必需品の特価販売が行われる。パソコンや文房具、ファッション用品が最大40%オフで提供されるほか、「Build Your Dorm」シリーズでは100ドル以上の購入で20ドルオフといったキャンペーンも展開される。
若年層向けの「プライム・フォー・ヤングアダルト」プランでは、18〜24歳の新規会員を対象に初回6カ月無料で提供され、今年はプライムデー期間中に5%のキャッシュバック特典も付与される。
AIを活用したショッピングサポートも充実している。AIショッピングアシスタント「ルーファス」は、ユーザーの趣味や関心に応じた特価情報を提案するほか、過去の購入履歴に基づくリコメンデーション機能も強化されている。
さらに、米国では次世代パーソナルアシスタント「アレクサプラス(Alexa+)」を活用した価格通知サービスが導入されており、ウィッシュリストに登録した商品が希望価格帯に達するとユーザーに通知が届く仕組みも用意されている。
今年のプライムデーは、日本を含むオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、フランス、ドイツ、イタリア、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国、米国などの各国で同時開催される。ブラジル、エジプト、インド、メキシコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの国では夏後半に実施予定。
なお、プライムデーの全セール商品を利用するにはプライム会員への登録が必要となる。現在、世界中で2億人以上が有料プライム会員として登録しており、月額14.99ドルまたは年額139ドルの通常プランに加えて、学生・若年層向けの割引プランや、低所得者層向けに「プライム・アクセス」(月額6.99ドル)といったサービスも提供されている。
今回のプライムデー2025は、世界的に消費者マインドが不透明な中での開催となる。特に米国市場ではインフレの影響により消費意欲の減退が懸念されている状況だ。そうした背景において、開催日数を倍増し、多様な価格帯・商品ジャンルで消費者層を広げようとするアマゾンの戦略が吉と出るか凶と出るか、大いに注目される。