3月6日、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが、プライベート・エクイティ企業シカモア・パートナーズの傘下企業による買収合意を発表した。取引総額は最大237億ドルに達する見込み。
ウォルグリーンの株主は1株あたり11.45ドルの現金を受け取るほか、同社が所有するヴィレッジMD(ヴィレッジ・メディカル、サミット・ヘルス、シティMDを含む)事業の将来的な売却収益に応じて、最大3.00ドルの追加価値を受け取る権利を得る。2024年12月9日時点のウォルグリーンの株価8.85ドルと比較すると、現金部分だけで29%、最大額の総対価で63%のプレミアムがつく形となる。
非上場化でリストラを加速
ウォルグリーンは薬局、健康サービス、小売事業を統合的に展開している。今回の買収により、シカモアの小売・消費者ビジネスにおける専門性と、ウォルグリーン自身のヘルスケア分野の知見を組み合わせ、業界の変化に柔軟に対応できる体制を構築する狙いがある。
ウォルグリーンのティム・ウェントワースCEO(最高経営責任者)は、「当社は再建戦略を進めているが、大きな価値創造には時間と変革が必要であり、非公開企業としてそのプロセスを進めることが最適であると判断した」とコメントしている。
シカモア・パートナーズ役員のステファン・カルズニー氏も「ウォルグリーンズは125年、ブーツは175年にわたり、消費者の生活に不可欠なブランドであり、その価値を十分に理解している。このブランドを守りながら、事業のさらなる成長を支援していく」と述べた。
2025年内に取引完了見込み
取引は2025年内に完了する見込みであり、ウォルグリーンの取締役会は満場一致で本取引を承認している(ただし、主要株主であるステファノ・ペッシーナ氏とジョン・レデラー氏は審議・承認手続きから除外された)。
本取引の完了には、ウォルグリーン株主の承認および規制当局の承認が必要となるが、資金調達はすでに確保されており、シカモアは全額コミットメント済みの資金を用意している。取引完了後、ウォルグリーンの株式はナスダック市場から上場廃止となる。
ウォルグリーンの執行会長であり主要株主でもあるステファノ・ペッシーナ氏とその保有会社は、ウォルグリーン株式の約17%を所有している。今回の取引では、ペッシーナ氏は賛成票を投じるとともに、受領する現金対価を全額再投資し、さらに追加の資金も投じる意向を示している。
ウォルグリーンは現在、ヴィレッジMDの事業売却に向けた選択肢を検討している。ウォルグリーンはヴィレッジMDに対して34億ドルの貸付を行っており、その利息は年率19%。ヴィレッジMD事業が売却された場合、株主は最大3.00ドルの配当を受け取れない可能性もある。