ウォルマートが提供する「当日薬局配達」サービスが、2025年1月末までに全米49州で利用可能となった。このサービスは2024年10月にアーカンソー州、ミズーリ州、ニューヨーク州、ネバダ州、サウスカロライナ州、ウィスコンシン州の6州で試験的に導入され、その後わずか3カ月で49州へと急拡大した。
ウォルマートの当日薬局配達は、同社の既存のeコマース基盤と配送ネットワークを活用し、医薬品を食料品や日用品と共に一括注文・配送できる点が大きな特徴である。今回の拡大により、全国の消費者が処方箋薬をより手軽に入手できるようになり、特に忙しい家庭や移動が困難な高齢者にとって大きなメリットとなる。
店舗併設の薬局とネットワーク
ウォルマートは約4600店舗を全米に展開し、その大半に薬局を併設している。このインフラを活用し、薬局システムとeコマースプラットフォームを統合することで、全米の86%以上の家庭に医薬品を迅速に届けることが可能となった。
ウォルマートの調査によれば、55%の顧客が「食料品などと一緒に処方薬を受け取りたい」と回答しており、特に時間の制約があるファミリー層や忙しい働き手からの要望が多かった。
安全で信頼できる医薬品配送のために、ウォルマートは厳格な品質管理基準を設けている。処方薬はすべて資格を持つ薬剤師が確認し、改ざん防止のパッケージに封入される。さらに、HIPAA(医療保険の相互運用性と責任に関する法律)に準拠したプライバシー保護策が導入され、顧客の情報が適切に管理される仕組みとなっている。
また、AIを活用した配送プラットフォーム「Spark」を利用し、顧客ごとに最適な配送エリアを算出。これにより、従来の郵便番号ベースの配送ルートよりも、より正確な配送が可能となり、スピードと精度が向上した。
三つの配送オプション
新サービスでは、顧客のライフスタイルに応じた三つの配送オプションが提供される。
1)定時配送:指定した時間帯に合わせて配達
2)オンデマンド配送:注文後数時間以内に配達
3)エクスプレス配送:最短30分での配送
これらのオプションにより、急な薬の必要時にも柔軟に対応可能で、特に高齢者や移動が困難な顧客にとって大きな助けとなる。
ウォルマート+(プラス)会員は、当日薬局配達サービスを無料で利用可能であり、非会員の場合は配達オプションに応じた料金が適用される。
また、対象の医薬品には一部制限があり、規制薬物、冷蔵保存が必要な薬品、メディケア・パートB対象商品は当日配達の対象外となる。