ウォルマートの2024年の主要テーマの一つは、デジタル仮想世界での「没入型コマース」の強化のようだ。年明け早々の1月4日、ウォルマートはリアルタイム3D(RT3D)コンテンツ制作プラットフォーム「ユニティー」(ユニティー・ソフトウェア社が開発)との協業を発表した。
ユニティーのゲームやアプリのクリエイターがウォルマートのコマースAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)をゲームやアプリに直接統合できるようにする計画だ。クリエイターはRT3Dの世界で実際の商品を販売することが可能になる。
利用者は仮想世界でのライフスタイルと実際のライフスタイルを結びつけ、新しい収益化チャネルを確立することができるという。
ユニティーのソフトを利用するクリエイターは毎月110万人を超え、「Made With Unity」のアプリは世界で毎月平均36億ダウンロードされている。
ウォルマートのメタバース・コマース担当バイスプレジデントのトム・カン氏は、「ウォルマートならではの方法で、物理的な領域とデジタルの領域をつなげ、顧客や会員がすでにいる場所で本物の体験を提供する機会を得た。ウォルマートのコマースAPIをユニティーの開発コミュニティに開放することで、我々は開発者に、ゲームや仮想世界、アプリを離れることなく現物商品の取引を簡単かつ便利に完了させながら、ユーザーエンゲージメントをさらに促進する新たな仕組みを提供する権限を与えることになる」とコメントしている。
過去1年間、ウォルマートはオンライン環境で没入型コマースをテストしており、ユニティーの活用では以下三つの実例がある。
1)ファンジーが開発した「ハウスフリップ」:モバイルゲームでバーチャルの家を改装、装飾、販売する。プレイヤーは使用アイテムの実物を購入できる。
2)ロックウッド・パブリッシングが開発した「アバキンライフ」:最新アパレルのバーチャルアイテムを購入したり、現物を購入するとバーチャルアイテムを無料で受け取れる。ウォルマートはバーチャル衣料品の「コアムード・コレクティブ」もリリースしている。
3)ネバーZの旗艦プラットフォーム「ZEPETO」:3DアバターベースのソーシャルプラットフォームであるZEPETOのソーシャルスペースに、Scoopとバーチャル初の「コアムード・コレクティブ」ブランドをスクープ社と立ち上げた。ウォルマートとZEPETOは、将来的なブランド統合のために、プラットフォーム上の特定のスペースに没入型コマース機能を統合することに取り組んでいる。