米国の薬局チェーン大手で、調剤薬局ウォルグリーン(写真)のほか、英国でブーツも運営しているウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは、暫定だったCEO(最高経営責任者)の後任に、10月23日付でティム・ウェントワース氏が就任すると発表した。約30年にわたるヘルスケア業界でのリーダーとしての経験が買われたという。

 ウェントワース氏は、医療保険大手シグナ・グループの医療サービス部門エバーノースの初代CEOとして、ケア、薬局ソリューション、福利厚生管理などの医療サービス機能をまとめ上げた。

 シグナ入社以前は、2012年4月のメドコ・ヘルス・ソリューションズとの合併後、米国最大の薬局給付管理会社であるエクスプレス・スクリプツのCEOを務めた。同社を売上高1000億ドル超、従業員2万6000人を擁する企業へと成長させ、フォーチュン誌のランキングでは22位、フォーブス誌の「世界で最も革新的な企業」ランキングでは66位にランクインしたという。

 ウォルグリーンは米国、欧州、中南米に約1万3000店舗を展開する薬局チェーン。33万1000人以上の従業員を擁し、ウォルグリーン、ブーツなど複数の屋号を9カ国で展開している。

 先代CEOのロザリンド・ブリュワー氏は8月末に突然退任し、筆頭独立取締役であるジンジャー・グラハム氏が暫定CEOを務めている。退任理由は公表されていない。コロナ禍の2021年に就任したブリュワー氏は、米国でも数少ない大企業の黒人女性CEO。薬局でのワクチン接種などに尽力したが、直近の四半期決算は赤字が続いていた。

 ブルームバーグによれば、6月に通期見通しを減額した際に、英国の「ブーツ」300店舗に加え、米国でも150店舗を閉鎖する計画を明らかにしている。

 また、8月には保有する医薬品卸アメリソース・バーゲン(現センコラ)株式の一部を16億ドルで売却(アメリソースが買い戻し)している(センコラへの出資比率は約16%へ低下)。

 新CEOの下でウォルグリーン・ブーツは収益力を回復できるか。ウェントワース氏の手腕が問われている。