ターゲットは3月4日、今後の成長戦略を発表した。2030年までに150億ドル以上の売上成長を目標とし、デジタル体験の強化、新規性と価値の提供、スピードと信頼性の向上を重点項目として掲げる。

 商品ラインナップの強化のため、トレンドを反映したスタイルや価値を兼ね備えた商品の提供に注力する。ゲーム、スポーツ、玩具のカテゴリーを強化し、ビデオゲームの新作リリースや若者スポーツ用品の拡充を行う。

 また、ホームカテゴリーでは、「ハース・アンド・ハンド・ウィズ・マグノリア」や「スレッシュホールド・デザインド・ウィズ・スタジオ・マギー」といったブランドに、よりトレンド性の高い新商品を追加する。

 自社ブランドの刷新も進める。「グッド・アンド・ギャザー・コラボ」シリーズでは、ジェームズ・ビアード賞受賞シェフのアン・キムを迎え、3月9日から新商品を投入する。また、「アップ&アップ」や「グッド・アンド・ギャザー」、「フェイバリット・デイ」では、600点以上の新しい食品・飲料商品を展開し、ペット用品ブランド「ブーツ&バークリー」も刷新する。

 ターゲットは、既存のブランドパートナーシップの強化にも取り組む。新たに「チャンピオン」や「ディズニー」とのコレクションを発表し、「ワービー・パーカー」とのショップインショップ展開を進める。アパレル部門では、デザインから生産、店頭販売までのプロセスを短縮し、「オール・イン・モーション」などのアクティブウェアブランドの成長を促進する。

 美容カテゴリーも刷新する。この2月には、45以上の新ブランドと2000点以上の新商品を投入し、そのうち90%を20ドル以下の価格帯で提供する。

デジタル体験とオムニチャネル戦略

 さらにターゲットは、デジタル体験の向上を図るためテクノロジー投資を拡大する。AIを活用した検索最適化やSNSトレンドとの統合を進め、よりパーソナライズされた商品提案を実現する。

 また、デジタルプラットフォームの成長を目指し、24年に10億ドル規模であった「ターゲット・プラス」マーケットプレイスの売上高を、30年までに50億ドル以上に拡大する計画である。これに伴い、「ペロトン」「デイリー・ハーベスト」「オネスト・ベビー・クロージング」など新ブランドを追加し、品揃えを強化する。

 さらに、同社の社内メディア事業「ラウンデル」も拡張する。24年には20億ドル以上の価値を創出したが、30年までに規模を2倍に拡大し、収益基盤の強化を図る。

物流・店舗ネットワークや会員プログラムも強化

 物流および店舗ネットワークの強化にも取り組む。今後10年間で300店舗以上を新設する計画の一環として、今年中に約20店舗(主に大型店舗)を開設し、多くの既存店舗を改装する。

 サプライチェーンの最適化も進める。AIを活用した在庫管理システムの刷新により、商品の信頼性を向上させ、品切れを削減する。また、「シプト」や既存の店舗網を活用した新たな配送ソリューションを導入し、配送スピードの向上を図る。

 顧客ロイヤルティプログラム「ターゲット・サークル」の拡充にも注力する。24年には1300万人以上の新規会員が加入しており、今後3年間で「ターゲット・サークル360」の会員数を3倍に増やす計画だ。

 また、「マリオット・ボンヴォイ」との提携を通じて、旅行関連の特典を拡充し、会員の利便性を高める。即日配送サービスの成長も継続し、ターゲット・サークル360会員向けの「同日配送サービス」をさらに強化する。さらに、店舗での「ドライブアップ」や「返品サービス」の利便性を向上させ、顧客満足度の向上を図る。