ウォルマートは1月13日、ブランド刷新を発表した。同社が提供する現代的なサービスを反映しつつ、長年築き上げてきた一貫した価値観を尊重する形で、新たなブランドアイデンティティの構築を企図している。新ブランドの主な特徴は以下の通り。

(1)新しい字体のロゴ:創業者サム・ウォルトンのトラッカーハットにインスパイアされた新しいカスタムフォントを採用。ブランドの親しみやすさを強調している。

(2)「スパーク(Spark)」マーク:ウォルマートのエネルギーを象徴し、顧客のショッピング体験を導く存在であり続けるイメージを具現している。

(3)色合い(カラーパレット):トゥルーブルーとスパークイエローという、ウォルマートの伝統的な色調をベースに、新たな要素を加えた配色を採用。ブランドの伝統を尊重しつつ、現代的なイメージを醸成することを狙っている。

(4)トーンと表現:ブランドのトーンは親しみやすく、幅広い顧客層の共感を呼ぶようにデザインされている。

創業者の理念を基盤に

 ウォルマートの米国マーケティング部門上級副社長兼CMO(最高マーケティング責任者)であるウィリアム・ホワイト氏は、「ウォルマートは、顧客が必要とするすべての商品、ブランド、サービスを提供するデジタル小売業者を目指している。今回の刷新は、創業者サム・ウォルトンの理念を基盤に、進化する能力と顧客サービスへの長年のコミットメントを示している。新しいブランドアイデンティティは、顧客の変化に伴い進化するウォルマートを象徴している。ウォルマートは常に顧客に寄り添い、そのニーズに応じて変化していく存在であり続ける」と語る。

 ウォルマートは、このブランド刷新を段階的に展開していく計画である。2024年10月にはアーカンソー州スプリングデールにある店舗(4108号店)で試験的に導入が開始されており、2025年1月には公式ウェブサイト、アプリ、マーケティングキャンペーン、企業サイトに刷新されたブランドが導入される予定。さらに、2025年中にすべての施設で新しいブランドが適用される計画となっている。  

創業の地に新本社も完成

 2025年1月にアーカンソー州ベントンビルにオープンした新本社も、ブランド刷新の象徴的な存在。同地で1951年に創業して以来の「人々が節約でき、より良い暮らしを送れることに寄与する」という使命が反映されている。

 設計段階から社員の声を反映し、働きやすさを追求している。自然光があふれるオフィスや利便性の高い駐車場、フィットネス施設や保育施設、さらには12の飲食店が設置されている。

 米国最大規模のマスティンバー(人工木材の建築構造部材)構造を採用し、LEEDプラチナ基準を目指して設計されている。敷地の半分以上を緑地が占め、5000本の植林木を含む75万本の在来植物が茂り、自転車道や電気自動車充電ステーションなど、環境に配慮した設備も導入された。さらに、ドローンによる窓清掃や無人芝刈り機など、先進技術を活用したスマート施設としても注目されている。