アマゾンのクラウドコンピューティングサービス、AWS(アマゾンウェブサービス)の最大のイベント「re:Invent 2024」が12月3日にラスベガスで開幕。AWSのクラウド型コンタクトセンターサービス「アマゾン・コネクト」向けの生成AIの新機能が公開された。カスタマーサービスのパーソナライズや効率性を向上させている。

 すでに12月1日から実装されている、アマゾン・コネクトの主な新機能は以下の通り。

 自動セグメンテーション:ターゲットとなる顧客に対し、パーソナライズされたコミュニケーションを実施することが可能になる。

 アマゾン Qイン・コネクト:顧客の質問に対するレスポンスやアクションをエージェントに提案することで、より迅速な問題解決と顧客満足度の向上を実現する生成 AI 搭載のアシスタント「アマゾンQ」が活用できる。

 カスタマイズ可能なAIガードレール:AI生成コンテンツの制御を強化し、特定のポリシーを遵守する。

 AIによる洞察:顧客フィードバックの傾向を迅速に特定し、トレーニングやサービス向上に活用できる。

 クラウドコンピューティングとAIの採用は、今後6年間で世界のGDPに12兆ドル以上の貢献をすると予測されている。AWSと、コンサルティング会社テレコム・アドバイザリー・サービスによる調査では、2023年時点で、クラウドは1兆ドル以上、クラウドを活用したAIは980億ドル以上GDPを押し上げている。クラウド技術の利用はエネルギー効率の向上にも寄与しており、エネルギー生産性を高めることで、経済全体に追加の利益をもたらしているという。

クラウド技術でエネルギー効率を向上

 AWSは、エネルギー効率を高めた新しいデータセンター部品も発表した。その特徴は以下の三つ。

 ①電気・機械設計の簡素化:エネルギー消費を削減しつつ、設計を簡素化することで、故障リスクの低減も実現している。

 ②冷却とラック配置の最適化:新たな冷却システムは機械エネルギーの消費を最大46%削減し、ラックの効率的な配置と制御システムの改良により、1サイトあたり12%以上の計算能力向上を可能にした。

 ③持続可能性を重視した素材とエネルギー供給:データセンター建設で使用されるコンクリートの炭素排出量を業界平均より35%削減し、再生可能ディーゼルを燃料とするバックアップ発電機を導入。これにより、温室効果ガス排出を最大90%削減することが可能になる。

 新部品は、電気・機械設計、冷却システム、ラック配置、制御システムの効率を高め、AWSはより少ないエネルギーでより多くの計算を可能にしており、既存の施設でも導入が進みそうだ。AWSは、これらの設計を、早ければ2025年初頭に米国で建設される新データセンターに採用する計画だ。