大渋滞の中クラクションを鳴らしながら進むバイク乗り、街角の屋台で食事する家族、夕方のスコール――。ベトナムは人口約1億人、平均年齢33歳の若くエネルギッシュな国だ。実質GDP成長率は6%前後と世界の中でも急成長を遂げている。
そのベトナムを、イオンは日本に次ぐ第2の市場と位置づけている。2014年にイオンモール1号店のタンフーセラドンを南部のホーチミン市に開業。翌年には北部の首都ハノイ市に進出。そして9月21日には念願の中部1号店をフエ市に開業し、ショッピングモールは7店舗体制となった。さらに開業日は未定だが、ハノイ市、中部最大のダナン市、北部のタインホア市、ハロン市の4市に新モールの出店が決定している。
ベトナムでの事業展開はこれにとどまらない。モール頼みの出店戦略から脱却を志向するイオンベトナムは、GMSを他の商業施設にも出店し、ハノイ市ではSMマックスバリュエクスプレスを集中展開。GMSから切り出したH&BCなどの専門店の出店も増えている。さらにコンビニのミニストップ、もともと地元企業だったSMのシティマート、アミューズメント施設を運営するイオンファンタジーも出店を加速させており、それらを金融のイオンフィナンシャルサービス、店舗管理のイオンディライト、PBの開発と輸出入を担うイオントップバリュが支えている。
イオンベトナムグループ8社が描く成長戦略と、ベトナムにおける国内外のプレーヤーとの競争の最前線をレポートする。(本誌・加藤大樹)