小売業の生産性向上とお客のレジ待ち解消につながる「レジのセルフ化」が2016年頃から進んできた。その一方、お客はレジ操作に迷うこともあり、従業員はトラブル対応など作業負担の課題も多い。そこでグローリーは、セルフレジに特化した「新型セルフつり銭機S1000シリーズ」(RT/RAD‐S1000)を10月から販売開始。通貨処理機メーカーの同社は、「コンパクト設計」「操作性向上」「トラブル防止・業務負担軽減」などの製品コンセプトで小売業のセルフレジ導入の課題を解決していく。
様々な売り場にフィットするコンパクト設計
スーパーマーケット(SM)や専門店など流通小売業では、人手不足が深刻化している。原材料、物流費、光熱費などコストも上昇傾向にあり、収益性改善と人手不足への対応を兼ね備えた「フルセルフレジ」へのシフトが進んでいる。「小売業各社はフルセルフにシフトして人件費をさらに削減する方針を明確化している。特に小型店は設置スペースが限られるのでコンパクトなレジシステムが求められる。こうしたニーズに応えるために当社は様々な売り場にフィットするコンパクトなセルフレジ向けつり銭機の開発に至りました」とグローリーの営業担当者は経緯を語る。
新型セルフつり銭機S1000シリーズは、セルフレジ専用として、機器本体の奥行を従来機(380シリーズ)に比べ、約40%削減し、業界最小の奥行33cmを実現させた。筐体組み込み時の奥行は従来機に比べ約35%縮小。限られたスペースにも適正な台数を設置できる。店舗のスペースが有効活用でき、空いたスペースに商品陳列棚やフック型什器を置くなど売り上げ拡大につなげることも可能だ。またレジ回りの通路も広く確保できることで、ピーク時でも快適でスムーズな買い物ができるため、顧客満足度も高まる。
セルフ会計に配慮した操作性と充実の機能
お客が迷わず操作しやすいようにレイアウトを見直すとともに、セルフレジの「操作性向上」を図った。現金の投入口は、紙幣と硬貨の操作位置が離れており分かりにくかったが、S1000シリーズは紙幣・硬貨の投入口とおつりの取り出し位置を集中させ、入出金をスムーズにできるように設計した。「従来のセルフレジは現金の投入口が分かりづらいことから指示シールを貼るなどの対応をしていた。S1000シリーズは、お客様が投入口とおつりの取り出し口が1目で分かるので操作しやすく、シールなどを貼る必要もありません」(グローリー営業担当者)。
S1000シリーズの入出金口は、LEDガイドランプが光り、入出金操作をより分かりやすく、お客を誘導できるように工夫を凝らしている。また、エラー発生時には解除手順をアニメーションで表示。さらに「入金済」「出金済」の金種明細が表示され現金の取り扱いを即座に確認できることで、従業員は安心してエラー解除対応ができる。
加えてセルフレジ特有のトラブルを防止する機能により従業員の「負担軽減」を実現した。セルフレジでは、有人レジに比べて硬貨が多く使用される傾向にあり、大量の硬貨を一度に入れられてしまうなど、硬貨収納部がすぐにいっぱいになってしまうことが多い。
S1000シリーズでは硬貨の入金上限枚数を設定することが可能で、硬貨の大量投入を防止することができる。さらに硬貨収納容量が従来製品より57%アップされたことで、日中の硬貨の回収及び補充業務の負担を軽減することができる。
そのほかにも、国内発行貨以外のコインなどの排除に対応した識別能力機能が向上。さらに、機内在高を自動計数し精査する機能を搭載し、現金管理の厳正化と効率化を実現。定期的な棚卸し作業を省力化できる仕組みだ。
グローリーは、セルフレジに特化した新型セルフつり銭機の発売で、小売業のセルフレジの課題を解決し、SMや専門店など幅広い流通小売業のセルフ化をさらに加速させていく。
(写真右からグローリー営業本部の青木敏行グループマネージャー、 ビジネスイノベーション本部の金川正幸氏、営業本部の神崎広次氏)