北海道への愛着が強いのは、生まれは函館、朝食に出るスルメイカのコリコリした味にその原点があるからだろう。吉村氏が生まれた当時函館の町は、函館ドックがあり、遠洋漁業が栄えた。同氏の母親は、「駅前は夜真っすぐ歩けないほどの混雑ぶりだった」と語るという。その人混みは今は見られない。「だから地域活性化にすごく興味があって、中小食品企業支援に行き着いた」。異色のビジネスモデルの原点もここにある。(インタビュアー・栗田晴彦)
中小食品企業の海外進出をサポート
――M&Aでグループ化して支援するという独自の手法で、中小の食品製造会社を次々活性化しています。そもそも中小の食品会社をなぜ支援しようと思ったのですか。
吉村 私は函館の出身で、子どもの頃は毎日獲れたてのイカを売りに来ていました。新鮮な魚介類に触れて育ったこともあって、食べ物には少しこだわりがあったんです。それで会社に入って米国に留学させてもらったんですが、食事がまずくて、よくこんなもの食べられるなと(笑い)。でも米国の人も、日本食のおいしいお店とそうでもないお店に連れて行くと、違いが分かるんですよ。