イオンは8月29日に「イオントップバリュ9月度新商品発表会」を行い、防災や環境配慮を意識した商品および取り組みについて発表した。

 トップバリュでは現在、「もったいないをおいしく!」をコンセプトにサプライチェーン全体で食品廃棄物やロスの削減に向けた商品開発を進めており、9月から順次、同シリーズのラインアップを拡充。規格外の国産野菜を活用した「うまみとじこめ野菜」シリーズに「たけのこ・ごぼう・にんじんミックス」「きのこ4種ミックス」「親芋(さといも)」の3品目を新たに追加するほか、規格外のエリンギを使用したスープ「カリフラワー&豆乳のなめらかポタージュ」を新発売する。また、通常は廃棄されるキャベツの芯から抽出、加工したエキスなどが原料の「炊き込みご飯の素」もベストプライスから発売。

 さらに、10月からは「国産素材の乾燥野菜」15品目と「グリーンアイオーガニック カラフルな野菜シート」6品目の合計21品目を発売する。栄養やうまみを凝縮した乾燥野菜は添加物無使用で、作り置きのおかずやスープなどに活用することで調理時間を短縮できる。賞味期限8カ月と長期保存が可能なため、非常食にも適している。イオントップバリュの土谷美津子社長(冒頭写真中央)は「乾燥野菜は甘いものが多いが、自然のままの味を大事にし、すべての部分を使い切って商品化した。ぜひ味わってほしい」と自信を見せた。

10月から15品目が新発売される「トップバリュ 国産素材の乾燥野菜」

 また、野菜シートは国産有機野菜と寒天のみでつくられたアレルゲンフリー。巻き寿司やおにぎりの海苔の代用品として活用できるほか、サラダラップなどに幅広く使える。これにより、「もったいないをおいしく!」シリーズは40品目以上にまで拡大。

 加えて、「グリーンアイオーガニック」から、日本初となる陸上養殖オーガニック海藻の「あおさのり」「あかねそう」を8月29日から新発売する。今年度はイオンリテールの50店舗で先行発売し、来年度以降に拡大する予定だ。さらに、天然成分100%の有機ブルーアガベ使用で有機JAS認証を取得した「アガベシロップ」も10月15日から発売予定。アレルゲンフリーかつ低GIで身体に優しい上、気候変動に強いサステナブルな原料の環境配慮商品だ。

 2023年に誕生30周年を迎えたグリーンアイは昨対比約118%とオーガニックを中心に伸長。「グリーンアイは若い方の関心が高く、子どもが生まれて興味を持っていただくケースも多い」(土谷社長)という。イオンは国内オーガニック食品市場での「トップバリュ グリーンアイオーガニック」のシェアを25年度までに30%に拡大する方針だ。

 また、MZ世代をターゲットにした「トキメクおやつ部」の第2弾として、計42SKUを9月17日から発売予定。日持ちし、ストックに便利なことから、非常食としての活用も訴求する。

 イオンは、こうしたトップバリュ商品を揃えることで「お手軽ローリングストック」を推奨する。ローリングストックとは、普段から食品を多めに買っておいて、食べた分だけ買い足すことで災害への備えとすること。今夏も台風や地震の被害が相次いでいることから非常食への注目は高まっており、8月8日の日向灘地震発生後、イオンでは天然水2Lケースの売れ行きが前週比約4倍にまで跳ね上がった。

 イオントップバリュの髙橋幹夫取締役商品開発本部長(冒頭写真左)は「上期は防災商品を開発するというスタンスではなく、結果として防災のときにも役立つ商品を提案することができたが、今後は防災時に役立つということを視野に入れて商品開発をしていく必要性を強く感じている」と力を込めた。

 また、イオンはトップバリュ商品の販売を通じた能登の復興支援も開始。9月4日より、「食べて復興支援 がんばろう!能登」のシールを貼った「ほたて貝ひも野菜揚げ」「たこ紅生姜揚げ」「いか枝豆揚げ」の3品目を発売し、売り上げの一部を復興に役立てることで被災地支援に取り組んでいく。