ウォルマートが、自社の物流ソリューション技術をグループ以外の他の小売り企業に提供する。ウォルマート・コマース・テクノロジーズ社のAIを活用した配送ルート最適化(Route Optimization)のノウハウをSaaS(サービスとしてのソフトウェア)ソリューションとして外販する。

 「ルート最適化」は、あらゆる規模の企業に対し、走行ルートの最適化、配送車両の積載効率の最大化、走行距離の最小化を実現するAI駆動型ソフトウェアを提供するもの。ウォルマートは、この技術により、走行距離を3000万マイル減らし、11万本の非効率な経路を回避することで、9400万ポンドのCO₂を削減した。同社は、このテクノロジーの構築と大規模展開により、2023年にフランツ・エデルマン賞を受賞している。

 AIを活用した自動ルートマッピングは、時間、場所、店舗への配送時間帯などの要素を考慮し、複数店舗へのより効率的な配送計画を提示する。また、配送車への積み込みの効率化は、スペースを最大化するだけでなく、温度管理された商品の鮮度を保つことにも寄与している。

 天候や交通のパターンを活用し、必要に応じて素早くルートを変更することで、外部要因に関係なく、店舗は時間通りに商品を受け取れる。また、帰り便を活用した在庫の集荷を戦略的に計画することで、物流効率と環境負荷の軽減を両立させた。

 ウォルマート・グローバル・テックおよびウォルマート・コマース・テクノロジーズを担当する上級副社長兼COO(最高執行責任者)のアンシュ・バールドワジ氏は、「当社のAI活用技術を採用することで、企業は顧客サービスにリソースを集中できるようになる」と語っている。