アマゾンが自社のキャッシュレス技術「バッジペイ」を、他の小売業者だけでなく医療業界へも展開し始めた。

 バッジ(カード)によるレジなし決済「ジャスト・ウォーク・アウト(JWO)技術」は、アマゾンの直営店舗(数十店)で無人コンビニのように利用できるもの。これまで第三者への提供として米国、英国、オーストラリア、カナダにおいて空港やスタジアム、大学キャンパス、食料品店、コンビニエンスストア、テーマパーク、カフェなどにレジなし店舗システムとして提供してきた。

 利用者は自動改札のような入り口でバッジ(カード)やスマホ、あるいは手かざしのような生体認証でゲートを通過して店内に入る。商品の陳列棚には精密なセンサーが組み込まれており、利用者が手に取った商品の種類や点数を把握する。

入り口でバッジをかざしゲートを通過する(アマゾンニュースリリースサイトより)

 商品を棚に戻した場合も正確にチェックしており、利用者が商品を持ってゲートから出ると、決済される仕組み。カメラ、棚センサー、重量センサー、RFIDタグなど、さまざまなセンサーを使用して、誰が何を取ったかを判断しているという。

 商品をどのようにして手に取って購入を検討し、実際に購入に至ったかまでの詳細な情報が手に入るため、在庫管理や店舗レイアウトに対する新たな知見も得られる。

 この技術の医療現場への初導入はジョージア州サバンナにあるキャンドラー病院。医師、看護師、その他の医療スタッフは、従業員バッジをスキャンするだけで、いつでも食べ物や飲み物を手に入れることができる。レジで集計して支払いをする必要はまったくない。バッジは給与天引き口座とリンクされており、購入金額が自動的に引き落とされる。

バッジは給与口座とリンクされており、自動的に引き落とされる(アマゾンニュースリリースサイトより)

 介護者やその他の来院者も、JWO対応の病院売店でクレジットカードまたはデビットカードやモバイルウォレットを使って買い物ができ、その額をウェブ上のレシートにアクセスして確認することもできる。

 病院でのバッジペイ展開のために、医療自動化ソリューションのリーディングプロバイダーであるCBORD社と協力している。

 小規模な小売りスペースを中心に、意外なところでアマゾン技術がしたたかに広がりを見せそうだ。