国土交通省は12月15日、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」での提言内容を公表した。
〝標準的な運賃〟とは、2018年に創設された、物流業者が荷主との運賃交渉時に参考にする指標のこと。〝標準運送約款〟とは、物流事業者が荷主などと締結する運送契約の雛形だ。現行の標準的な運賃は2020年に告示されたもので、足元の物価高騰などの影響により乖離が生じている可能性があることから、検討会で見直しが進められていた。
発表された提言内容は、平均約8%の運賃引き上げ、燃料費を120円に変更する、燃料サーチャージも1リットルあたり120円を基準価格に設定する、荷待ち・荷役などの対価については現行の待機時間料に加えて作業ごとの積込料・取卸料を加算する、荷待ち・荷役時間の合計が2時間を超えた場合は割増率5割を加算、標準運送約款において運送と運送以外の業務を別の章に分離し荷主から対価を収受することを明記する、有料道路使用料を個別に明記する、など。
提言内容は24年1月以降、標準的な運賃については運輸審議会への諮問を経て、標準運送約款についてはパブリックコメントを踏まえて、それぞれ改正する。
来年4月からはドライバーの残業時間に上限規制がかかり、物流に支障が生じる可能性がある「2024年問題」に直面する。提言内容を踏まえた適正な運賃への引き上げや、荷待ち・荷役作業の見える化、料金加算などが進めば、サプライチェーンの各段階で物流コストが高まることはほぼ確実だ。効率化で吸収しきれない分は商品価格への転嫁につながる可能性もある。