多様なイベントを活用利用者のすそ野拡大を図る
サウナにスポーツ、お笑い――。Qvou(キューボー:神戸市)がナチュラルミネラルウォーター「のむシリカ」のプロモーションの場を広げている。
ECを中心に展開し、売り上げを伸ばしてきた「のむシリカ」は、2022年に一般の小売店流通にも進出し、市場の拡大に乗り出した。ECの主要客層である40~60代の女性に加え、若い女性や男性にもマーケットを広げるため、広告宣伝を強化。韓流カルチャーや格闘技、障害物レース、サマーフェスなどのイベントに協賛するほか、イベントへの出展も積極的に進めることで、若い世代への認知浸透を図ってきた。加えて7月には、TOKYO MXで放映中のサウナ番組「サウナの神さま」のメインスポンサーを受託し、番組前後にテレビCMを放映するほか、番組内でも「のむシリカ」を紹介。近年のサウナブームに着目し、サウナで失った水分やミネラルを補給するためのドリンクとして「のむシリカ」を訴求している。
また、お笑いのライブコンテスト「お笑いJACKPOT(ジャックポット)」も主催。こちらは、芸人としての年収が100万円以下の芸人を対象にしたコンテストで、優勝者には賞金100万円と「のむシリカ」1年分をプレゼントするというもの。コンテストは、リアルでの開催に加え、ユーチューブでのライブ配信も行い、お笑い好きの若者の間で「のむシリカ」の認知度アップを狙う。
さらに、柔道家の鈴木桂治氏とのスポンサー契約も締結。鈴木氏は、アテネオリンピックの金メダリストで、現在、全日本柔道男子の監督を務めている。「24年のパリオリンピックに向け関連イベントが多数開催され、鈴木氏も全日本の監督としてメディアに露出する機会も増えることから、それに合わせて当社としても広告を増やしていきたい」(Qvou担当者)としており、鈴木氏を起用したテレビCMの制作も検討。スポーツファンの間でも認知拡大を図っていく。
このほか、各地の行事へも積極的に参加しており、夏祭りやサマーフェスに出展したほか、10月には、沖縄県那覇市の伝統行事「那覇大綱挽」にも参加。ギネスにも認定され、多くの見物客が集まる行事を利用して幅広い層に「のむシリカ」をアピールした。
こうした様々な販促活動の成果もあり、この7月には累計販売本数が1億本を超え、それ以降も順調に販売数を伸ばしている。また、販売チャネルも拡大、この秋には初めてドラッグストアでの取り扱いも決まった。
限定した水脈から採水、ごはんもお酒もおいしさアップ
Qvouが積極的に販売を進める「のむシリカ」は、シリカ水と呼ばれるナチュラルミネラルウォーターだ。シリカとは、ミネラルの一種で、人体のほとんどの組織に含まれ、体内で組織同士をつなぐ役割を担っており、不足すると肌荒れや抜け毛、骨折などにもつながりやすくなる。健康維持には不可欠な成分だが、体内で生成できないため、食事などで摂取する必要があり、その量は、成人で1日当たり約40mgと言われている。「のむシリカ」には、このシリカが1L当たり97mg含まれているため、500mLサイズを1日1本飲むだけで十分な量のシリカを摂取できるのだ。ちなみに1L当たり97mgという含有量は世界でもトップクラスだという。
シリカ水の中には、化学合成したシリカの添加で高濃度をうたう商品も少なくないが、「のむシリカ」は、霧島連山の麓、宮崎県小林市の水源に幾本もある水脈のうち、1L当たり97mgのシリカを含む1本の水脈からだけ採水することで、天然水に含まれるシリカのみで高濃度を実現しているのだ。また、Qvouによれば、シリカはナチュラルミネラルウォーターからの摂取が最も吸収率が高くなると言われている。
さらに、シリカ以外の天然ミネラルの含有量も多く、二日酔いや胃腸の改善に役立つと言われる炭酸水素イオンが1L当たり170mg含まれるほか、カルシウムとマグネシウムは、吸収率が最もよいとされる2対1の黄金比率で含まれている。
飲みやすさも特長の一つだ。水の飲みやすさは、主に水の硬度によって決まり、カルシウムおよびマグネシウムの含有量が少ない軟水ほど飲みやすく、逆に含有量が多い硬水ほど飲みにくい。様々なミネラルが偏りなくバランスよく含まれる「のむシリカ」は、硬度が中程度の「中硬水」に分類され、ミネラル分をしっかり摂取できるうえ、飲みやすいというメリットがある。
また、「のむシリカ」には、料理の味を引き立たせる効果もあり、「のむシリカ」で炊いたご飯は他の水を使った場合より艶が増すうえ、深いコクと甘みが感じられる。さらに、お酒の水割りや水出し茶も、「のむシリカ」を使うと、他の水よりもコクと旨味が増し、特にお茶は鮮やかな色になるという実験結果が出ている。
本格導入する小売業が増加、小売り以外からの引き合いも
高い商品力に積極的なプロモーションが加わった結果、「のむシリカ」は、小売業からの関心も高く、商品の導入企業も、総合スーパーから食品スーパー(SM)、生活協同組合、ホームセンター(HC)、コンビニエンスストア、百貨店まで多種多様な業態に広がっている。また、販売を始めた企業での取扱量も拡大しており、実験的な導入から定番棚での導入に切り替えた企業や全店導入を決めたところも多い。「秋冬は、春夏に比べて水の需要は減少するのが一般的だが、そうした中でも、安定的に注文が寄せられている」とQvouの担当者は手応えを語る。
さらに、前述の通り、大手ドラッグストアでの取り扱いも決まった。20店舗でテスト販売を実施したところ、売れ行きが好調だったため、11月から全国の店舗での導入を決めたという。「ヘルス&ビューティ関連の商品を扱うドラッグストアでの取り扱いが始まったことで、特に美や健康に対する意識が高く、のむシリカの需要が大きいと見込まれる層へアプローチできる機会が増えた」とQvou担当者も大きな期待を寄せる。
価格競争が激しいミネラルウォーター市場にあって、「のむシリカ」は、その商品特性から価格訴求をする必要がないため、小売店も販売に意欲的だ。エンドや専用売り場での訴求に取り組む小売業も多いことから、Qvouでも、販促支援ツールを提供、箱売りに力を入れるHCに対して商品ボトルの見本を提供したところ、中身がイメージできるようになったことで販売量が拡大したという成果も出ている。また、店頭のデジタルサイネージも無償で貸し出しており、精肉や鮮魚売り場など、水以外の売り場のサイネージで「のむシリカ」を訴求し、売り上げ拡大につなげたSMもある。サイネージで流す情報コンテンツもQvouで用意しているが、「オリジナルの動画を流したいというご希望をいただくこともあり、プロモーションの期間やサイネージの台数なども含め相談した上で前向きに検討していきたい」(Qvou担当者)と柔軟に対応していく構えだ。
本格的な小売流通での販売開始から1年足らずで認知度を大きく高め、販売量を伸ばした「のむシリカ」。2年目も引き続き、販路拡大を進めるため、食品卸の展示会に積極的に出展するほか、新年2月開催の「スーパーマーケット・トレードショー2024」にも出展予定だ。国内最大級のSM向け商品の展示会に出展することで、より多くのSMとの接点が期待できる。このほか、温浴施設やスポーツジムなど、小売業以外からの引き合いも寄せられていることから、新たな販路の開拓も検討していく。急成長中の「のむシリカ」だが、その伸びしろは、まだまだ大きいようだ。
■問い合わせ先卸一覧
・国分グループ本社株式会社
・加藤産業株式会社
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・三井食品株式会社
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