スーパーに加え、2次卸や飲食業との接点も

 Qvou(キューボー:神戸市)がシリカ水、「のむシリカ」の販路拡大に意欲を見せている。今年2月には、「スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2024」に初出展し、全国のスーパー関係者に「のむシリカ」を訴求した。

 2月14~16日に千葉市の幕張メッセで開催されたこの展示会はスーパーマーケット業界屈指のイベントで、今回は3日間の開催期間中、国内外から7万5800人余りが来場。Qvouのブースにも大勢の来場者が立ち寄り、「用意した30ケース(1ケース24本入り)が初日、10時の展示会開始から3時間で品切れし、急いで追加の手配をした」(Qvou担当者)というほどの盛況ぶりを見せた。

 来訪者の業種も多様で、取引の窓口となるバイヤーだけでなく、店長など、小売りの現場で働く人たちも多く、「販売方法や販促ツールの種類、販売時の留意点など、販売に関する具体的な質問が多数寄せられた。また、2次卸や製造業、飲食業など、小売業以外の方も多数来訪され、幅広い業界との接点が持てた」と、Qvou担当者も破顔する。すでにそうした来訪企業から問い合わせも寄せられていることから、同社では、SMTSで得た接点を販路開拓に活用していく方針だ。

 今回、想定以上のブース来訪者があったのは、展示会の規模の大きさもあるが、「のむシリカ」が小売店で販売できることへの認知が進んでいることもあるだろう。

SMTSでは、想定以上のブース来場者があり、多様な業界との接点を持てた

 ECを主要な販路としていた「のむシリカ」が一般小売店流通にも販路を広げたのは2022年。当初数社だった取り扱い小売業の数は1年ほどの間に30倍以上に増加。今や大手総合スーパーやコンビニなどのナショナルチェーンから高質スーパー、地方の食品スーパーまで、様々な業態に広がっている。

 また、昨年後半には、大手ドラッグストアチェーンが600店舗への導入を決めるなど、業種の幅も拡大。展開エリアも、東京・大阪などの大都市に加え、北海道から沖縄まで全国各地に及んでいる。さらにこの春からは、新たに関東地盤のスーパーが40~50店舗規模で導入を決めたほか、既存の導入企業でも、一部の店舗から全店に拡大する、催事から定番棚に格上げするなど、取り扱いを強化するところが増えている。

 導入企業が広がっている背景には、「のむシリカ」に対する高い評価がある。その一つが商品名にもなっているシリカの含有量だ。シリカとは、身体の組織同士をつなぐ役割を果たすミネラルの一つで、健康維持には1日40mgの摂取が必要と言われている。「のむシリカ」には、これが1L当たり97mg含まれているため、500mLサイズを1日1本飲むだけで十分な量を摂取できる。加えてマグネシウムやカルシウムなど、シリカ以外のミネラル成分も豊富で、必要な栄養素がバランスよく摂れる。こうした点も魅力となり、多くの小売業が取り扱いを拡大しているのだ。

 このほか、安心安全な生産体制への信頼もある。ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証やJ-FOODSの認証を取得した生産工場で、オートメーションで生産されているため、異物混入のリスクはゼロに近い。しかも、ボトルはUV殺菌と除菌されたクリーンエアで殺菌、天然水も130度で10秒間加熱殺菌後、無菌充填システムでボトリングしているので、菌が繁殖する心配もない。競合商品で不純物混入による回収騒ぎがあったが、「のむシリカ」にはそうした心配がない点も評価される理由と言えるだろう。

安全管理を徹底した工場で製造されている点も「のむシリカ」が評価されている理由の一つだ

SNSからバス停の広告まで多様なメディアで認知を向上

「のむシリカ」の認知が広がる理由には、もう一つ積極的な広告宣伝活動がある。昨年は、イベントへの出展やテレビCM、ネット広告など多様な施策を展開、「のむシリカ」の名前を広く知らしめた。今年も引き続き認知向上に力を入れる方針で、SNSやユーチューブを活用した宣伝活動を行うほか、都内のバス停への広告も6月まで継続する予定だ。また、店頭販促にも力を入れ、サイネージやモック、POPなど、導入小売業のニーズに沿った支援を実施していく。「複数ある商品の一つとしてシリカ水を扱う競合と異なり、当社はこの商品に特化しているため、販促の支援に割ける労力も大きい。小売業様の状況に対応した支援が行える点が強み」と、Qvou担当者は力を込める。

 本格的に水需要が高まる春夏シーズンに向け、販路の拡大とともに、取引先の販促支援も積極的に展開。EC同様、リアル店舗でも、シリカ水売り上げナンバーワンブランドの地位確立を目指す構えだ。