操作性とデザイン性が評価「2022年度グッドデザイン賞」受賞

 厨房機器大手のホシザキは、小型の飲食店、施設、スーパーなどに向けた小型スチームコンベクションオーブン(スチコン)「クックエブリオ ミニ」(Cook Everio mini、冒頭写真)を今年4月に発売。スチコンは店のメニューの幅を大きく広げ、作業効率を飛躍的に高めることから順調に配荷が進んでいる。

 2009年に発売したスチコン「クックエブリオ」シリーズは、従来の大量調理で使われたスチコンを、少量調理の一般飲食やスーパーなどでも使えるように開発された。熱風と水蒸気によって加熱調理の8割をカバーできることから、流通業界で急速に「クックエブリオ」の導入が広がった。その一方で「『クックエブリオを是非使ってみたいが、スペースの都合で設置できない』という、取引先からの要望や店舗事例もありました。そのため営業現場からも小型サイズの開発への要望も多かった」(ホシザキ本社営業部営業課伊藤綾乃氏)と明かす。

 こうした意見をもとに、「クックエブリオ」の標準機・Aクラスと同等の機能を持った小型モデルを開発。設置スペースが限られる手狭な店舗にも導入しやすいように、オーブンレンジとほぼ同じコンパクトなサイズ(幅500×奥行500×高さ400ml)に設計。これまでスペースの都合で導入が難しかった厨房でもスチコンを利用できるようになった。スチコン内部の収納は、2分の1ホテルパンを3段入れられる広さを実現。2段積みも可能なので、二台で別々の料理を同時に作ることもできる。

 今回は、この「クックエブリオ」を作り直してデザインを一新したことも大きな特徴だ。「飲食店やスーパーなどでは、調理の様子を見せるデザイン性の高いスチコンへの要望が高まっています。そこで店内やオープンキッチンの空間にも調和して映えるように、全面ブラックフラットガラスパネルを使いシンプルで洗練されたデザインへと設計しました」(伊藤氏)。また約8割の加熱調理を簡単にできるように、操作が容易な使いやすいデータ設定ダイヤルと、フルカラーの液晶画面を採用。この操作性とデザイン性を両立したことが高く評価され、「2022年度グッドデザイン賞」を受賞した。様々な設置場所や環境・空間にフィットするデザイン性の高い小型サイズを作り上げた。

ホシザキ独自技術を生かし理想の調理の仕上がりを実現

「誰でもおいしく、誰でもかんたん」を開発コンセプトに、小型化やデザイン性の高さだけでなく、使い手の立場に立った改良を加え、幅広い料理内容にも柔軟に対応している。スチコンの扱いに慣れていない人でも焼けすぎや焦げ付きの失敗もなく加熱調理を行えることから、料理の経験がないアルバイトやパートなどにも調理を任せることができるのだ。

シンプルに誰でも使いやすいように操作性を高めた

 その機能面では、小型サイズだが高い調理機能を支えるホシザキ独自技術を活用。調理に合わせて、「スチームモード、ホットエアモード、コンビモード」の三つの調理モードを選択。そこに「温度」「時間」などを選ぶだけで料理が完成する。それを実現するため内部はIH方式の蒸気発生器を採用して熱効率を良くし、約30秒で蒸気が沸き上がる仕組みとした。スチコン料理の仕上がりの鍵を握る温度と蒸気量をホシザキ独自技術で正確にコントロール。一般的なスチコンと違い、食材表面の温度が上昇する前に蒸気を投入することから、食品の内部まで熱が入り理想の調理の仕上がりとなる。さらに小型サイズながらもボイラーの水を自動排水し、底面は露受け皿にたまった水が自動で排水される構造となっている。

3つの調理モードで加熱料理の約8割を作ることができる

 また「クックエブリオ」のAクラスにはない低温コンビモードで調理の幅を広げた。低温での長時間加熱ができることから、栄養素が壊れにくく、食材の変色や縮みを抑えて加熱。ドライフルーツなどの調理に最適なモードとなる。

 サポート体制も万全だ。ホシザキの冷蔵庫や製氷機と同様に、437カ所(22年6月末現在)のサービスステーションで全国をくまなくサポート。各販社にはデモ機も置いてあることから、すぐに調理テストをすることができる。伊藤氏は「気軽にお問合せいただき、実際に様々なメニューを試していただければ」と強調。今後の展示会でも「クックエブリオミニ」を積極的に提案していく予定だ。

 調理機器はインテリアにも調和するデザイン性がより求められるようになってきた。こうしたニーズに、ホシザキは時代に沿ったデザインと技術を積極的に採用して対応。小型店も含めてより多くの流通関係者が気軽にスチコンを使い、誰でも簡単においしい加熱調理ができるように全面的にサポートしていく体制を整えた。