配達員の獲得難に備え自前シフトと効率化を推進

「需要もいずれ奪い合いになるかもしれないが、目下のところは配達員の奪い合いを危惧している」。首都圏におけるセンター型ネットスーパーの侵攻に対し、こう懸念を語るのはユーコープ事業本部の宮﨑泰成執行役員宅配事業統括だ。ユーコープは神奈川、静岡、山梨の3県で展開。うち神奈川エリアで宅配供給高の6割を上げている。この9月、イオンのグリーンビーンズが川崎市(高津区・中原区)へとサービス圏を拡大。早晩、横浜市への進出も確実視される中、宮﨑執行役員が競合状況よりも配送体制を気に懸ける背景には足元の物流逼迫がある。 

 ユーコープの宅配は自前物流の割合が2割弱、残りは全て外部の運送会社への委託でまかなっている。この委託の部分で既に人手不足が顕著に出ているというのだ。要因の一つには物流の2024年問題が絡んでいる。生協宅配のような近距離物流は残業規制の影響を大きく受けるわけではないが、働き方是正の動きの中で従来の配送体制を維持することが難しくなっている。特にこの夏は、有給休暇の取得が重なるタイミングで新型コロナ、インフルエンザがにわかに流行したこともあり、一部の運送会社では「所長さんクラスまでが配送に出ないと現場が回らない状況があった」(宮﨑執行役員)ほど。

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