イギリス人に「オカド(Ocado)」と言えば、英国の街角で毎日見かける「オンラインスーパー」と書かれたカラフルな配達車を思い浮かべるだろう。しかし、23年前にはこの英語らしくない名前を持つ英国初のネット専業スーパーが、のちにロンドン証券取引所に上場してFTSE100指数にも含まれるほどの企業になると想像した人は少なかった。現在、オカドの利用者数は全国で80万人余り。パートナーの大手スーパー、マークス&スペンサーの商品も含め生鮮・非生鮮食品、日用品合わせて5万点を扱っている。
オカドは、実店舗だけの経営からECに進出した大手スーパー各社とは初めから異なっていた。最新のテクノロジーを用いた独自の「フルフィルメント」システムを構築してから起業しただけでなく、単独のソリューション事業として運営する計画も並行して進めていた。創業者の1人が2001年のインタビューで「オカドはIT企業であり、たまたま食品を売っているにすぎない」と語っている。