弁当の価格帯を価値向上に合わせてシフト

「実は当社の惣菜は、コロナが拡大した2020年度も前年プラスだった」。平和堂の石井雅樹生鮮食品事業部デリカ課長は自信をにじませながらこう振り返る。感染者が急増した年度の初めはまとめ買い・保存できる商品の需要が高まり、フライなどのバラ売りが敬遠されたこともあって、特に4月は同社の惣菜売り上げも前年実績を1割近く割り込む苦境に陥った。しかしそこからすぐにバイキングを廃止し、パック商品への切り替えを実施。効率よく作れる丼を開発し、午前来店のお客に向けボリュームを持って商品を展開したほか、家飲み需要に合わせた品揃えなどに取り組み、徐々に業績が回復。通期実績は前年比103%と巻き返しに成功した。まさに平和堂の惣菜の地力を見せつけた好事例と言えよう。

 そんな平和堂が昨年対応を余儀なくされたのが、ご多分に漏れず原材料の高騰だった。「特に油の価格が1.8倍くらいになり、これだけで単品原価が2億円近く上がった。包材も含めれば仕入れ原価は前年比でざっくり約2割増えた」(石井課長)というから、まさに尋常ならざる事態だ。

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