政府は10月25日、福島県いわき市でALPS処理水の海洋放出に関するシンポジウム(冒頭写真)を開催した。2023年春を目処に海洋放出が行われるのを前に、処理水やその放出についての理解を深めるのが狙いで、当日は会場、オンラインを含め、流通・外食事業者や生産者など約250人が参加した。シンポジウムでは処理水の安全性を政府関係者が強調する一方、流通事業者からは風評被害を懸念する声が相次いだ。
処理水をめぐっては、政府側と地元の事業者、消費者との間に大きな溝がある。流通業関係者からは「安全と言うが、その言葉は本当に信用できるのか」「安全だと世の中に知ってもらうための努力が足りないのでは」と厳しい声が上がっており、政府や東京電力に対する不信感も根強い。政府側に求められているのは、安全性を徹底して周知することによる、福島との信頼関係の構築だ。