東日本大震災と原発事故から9年。農水産物の安全を証明する検査を続けてきた福島県が一つの転機を迎える。米は2020年産より県内全域の米の全量全袋検査を止め、一部エリアを除き、抽出検査に切り替える方針。漁業は今年2月に出荷制限魚種がなくなったことから、試験操業から本操業に移行するための準備が始まる。いずれも生産者が“平時”に近づく大きな一歩だ。
 その上で今まで以上に求められるのが商品の付加価値。他県の産品と比較しても「福島県産を食べたい、扱いたい」と小売店や消費者に思ってもらえる戦略をいかに推し進めていくか。県産品の現状を取材した。

回復には程遠い出荷量

 2月28日、福島県南相馬市の中心部にヨークベニマル原町店がオープンした。震災以降、閉店していた3店のうちの1店。9年ぶりの開業とあって多くのお客で賑わいを見せた。

 店内を歩いて目につくのが、地元産品の素材や加工品だ。入口すぐの産直ゾーンでは南相馬市や相馬市のいちご、キャベツ、ネギ、ウドなど冬から春にかけての味覚がずらりと並ぶ。新地町のフルティカトマト、南相馬市の鹿島漁港で水揚げされた天然ヒラメの造りやまこがれいのカルパッチョ、相馬市原釜漁港のあんこうで作ったともあえ、相馬市の味噌メーカーヤマブン山形屋の味噌を使用した豚肩ロースの味噌焼きなど、地元客にとっては馴染み深い商品ばかりだ。

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