顧客から信頼を得る衛生対策実施の可視化
エステーの業務用除菌剤「Dr.CLEAN+(ドクタークリーン)」は、一度の作業でアルコール除菌と1カ月持続する抗菌コーティングが施せる。それを実現できたのは、アルコール(62.9v/v%)除菌後に銀系抗菌剤を含んだ超新水膜(抗菌コーティング)を形成する富士フイルムの独自技術「HydroAG+」を採用したからだ。一般的なアルコールは、吹きかけてもすぐに蒸発するため再汚染しやすいが、Dr.CLEAN+の抗菌コーティングは効果が1カ月持続する。しかも1日1回の除菌作業でコーティングは多層になり、より高い除菌効果が得られる。「お客と従業員への安全・安心の提供」「除菌作業の時間軽減」「コスト削減」の三つが得られることから、Dr.CLEAN+は費用対効果が高いと評判になっている。
エステーは2020年8月5日、Dr.CLEAN+の第1弾商品として「除菌・ウイルス除去スプレー(本体500ml・つめかえ用2l)」を発売。21年1月25日に「除菌・ウイルス除去アルコールクロス(本体・つめかえ用)」を追加した。スプレーの本体は約760回噴霧できる。アルコールクロスは、本体、つめかえ用ともに80枚入り(140mm×180mm)である。特にスプレータイプは、不特定多数の人が利用するホテル業界、ドラッグストア業界で導入が進んでいる。エステーは今後、コンビニ、食品スーパー、学校、介護施設などへの提案を強化する考えだ。
高級ホテル「グランドニッコー東京ベイ舞浜」は、Dr.CLEAN+を早期に導入した企業の一つである。緊急事態宣言下で宿泊者が減ったとはいえ、より安心して滞在できる環境を整えるため、衛生管理対策に注意を払っている。
例えば、客室以外の除菌作業は、手すり、取手、ドアノブ、カート、トイレ便座、椅子、エレベーターボタン、駐車場精算機、自動販売機など多岐にわたる。こうした場所は、これまでは一般のアルコールを使って1日に複数回の除菌作業を行っていたが、Dr.CLEAN+の導入後は、除菌作業が1日1回だけとなり、大幅に作業時間が短縮されたことで、除菌作業にかかるトータルコスト(人件費+アルコール使用量)の削減にもつながった。
一方、大手ドラッグストア「ウエルシア薬局」は、約2000店舗にDr.CLEAN+を導入し、カゴ、トイレ、レジ周りなどの除菌に使っている。取引開始の決め手は、Dr.CLEAN+の商品特性を高く評価したこともあるが、既存のオペレーションに組み込みやすいことも大きな理由になった。というのも、コロナ禍のドラッグストアは、緊急事態宣言下でも休業せず、移動を制限された人々の生活を支える役割を担った。社会の要請に応え続けるのは、光触媒コーティングなどの短期とはいえ閉店する必要がある衛生対策を採用することが難しい。だから、従業員の作業負担を抑えながらも、さらに安心・安全な衛生環境を、業者に任せることなく自分達で作っていけるDr.CLEAN+に白羽の矢が立ったのである。
「きちんと衛生対策を行っていることをお客様にわかりやすく伝えるために、『皆様が触れる場所は除菌コートしております』と記載した告知ステッカーやスタンドPOPを無料配布しています。また、こうした衛生対策実施の可視化は、取引先様からアイデアをいただき、実現したものです。今後も多様な要望に耳を傾け、取引先様の衛生対策をサポートしていきます」(エステー事業統括部門ビジネス開発事業部の岡部豊事業部長)