異なる血圧上昇要因に2つの機能性成分がアプローチ
ファンケルは、ドラッグストアなどの流通チャネル向けにリニューアルで一新された「血圧サポート」(機能性表示食品)を投入する。これまで同社の血圧対策商品は、通信販売と直営店向けの「血圧サポート」、流通向けの「血圧ケア」と、チャネル別に展開するブランドを分けていたが、今回、「血圧サポート」のリニューアルを機に、流通チャネルにも「血圧サポート」を投入。両チャネル共通の戦略商品と位置づけ、大規模なプロモーションを実施、販売拡大に力を入れる。
今回のリニューアルでは、新たに「トリペプチドMKP(メチオニン−リジン−プロリン)」と「γ−アミノ酪酸(GABA)」の2つの機能性関与成分を配合した。血圧が上がる主な要因は、不摂生な生活習慣と日常生活のストレスと言われ、これらの要因に二つの機能性関与成分が働くことで、高めの血圧の上昇を抑える。流通営業本部・流通第1営業部・西日本営業グループの磯崎大輔課長は、「この2成分の配合は当社独自のもので、血圧を高める異なる要因に多角的にアプローチできる点が特徴」だと説明する。また、「トリペプチドMKP」は、他のペプチドと比べ、血圧を上昇させる酵素の働きを阻害する力が強いことが確認されており、今回、これを配合したことで、1回の摂取量の目安を従来の6粒から3粒に減らすことができ、さらに粒の大きさも直径を1mm程度小さくできたことで、飲みやすさも改善された。
高血圧は、日本人の死因上位3位を占める「がん・心疾患・脳血管疾患」の要因の一つで、その患者数は約4300万人に上ると言われている。また、高血圧の有病率は40代以降で高まる傾向が顕著だ。そのため、厚生労働省では、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21.第2次)」を立ち上げ、血圧改善を推進。昨年は、「高血圧治療ガイドライン」の血圧が高めとされる数値の範囲を広げ、高血圧の基準をより厳格化した。こうした国の方針もあり、多くの企業が血圧対策の商品の開発・販売に乗り出しており、ファンケルも、今回「血圧サポート」のリニューアルを実施し、戦略商品として販売を強化する。
刷新した「血圧サポート」を流通チャネルに投入するに当たり、ファンケルでは、トライアル利用のハードルを下げた。容量を通販・直営店向けの30日分に対し、流通向けは20日分と少量にし、価格も、通販・直営店向け(2376円)の約3分の2(1620円)に抑えた。通販・直営店の利用者は、目的買いのリピーターが中心だが、ドラッグストアなどの流通チャネルは新規客が多いためで、「サプリメントを利用されたことがない方でも気軽に手に取ってもらえる」(磯崎課長)よう配慮した。
少量パック化でトライアル利用を促進
プロモーションでは、俳優の吉田鋼太郎氏をキャラクターに起用。ベテランながら若い世代にも人気の高い吉田氏を起用することで、「血圧サポート」の認知度を高めると同時に、高血圧のリスクが高まる40代以上の男性に対し、高血圧を〝自らのこと〟として認識してもらう狙いがある。
店頭の販促では、専用什器を活用。吉田氏の写真が付いたオレンジ色の什器で目に留まりやすくすると同時に、「高めの血圧を下げる」のキャッチコピーで商品の機能も一目でわかるようにした。さらに、初回の配荷では、20日分に2日分を加えたお得な増量品も投入し、トライアル利用の取り込みを図る。
こうした単品としての訴求に加え、「健康数値サポートシリーズ」としてのプロモーションにも力を入れる。「健康数値サポートシリーズ」は、年齢とともに健康診断の数値が気になり出す中高年に向け、健康関連の数値改善を促進するサプリメントを集めたもので、「血圧サポート」のほか、「内脂サポート」、「血糖サポート」、「中性脂肪サポート」、「尿酸サポート」の4種類がある。それぞれ異なる機能のサプリメントを1カ所に集め、〝健康診断が気にならない生活〟をアピールすることで、対象市場の潜在需要を掘り起こす。
このシリーズの広告・宣伝には、これまで俳優の佐藤二朗氏を起用してきたが、「血圧サポート」のリニューアルを機に吉田鋼太郎氏も加えることで、メインターゲットの中高年への訴求力を高めていく。
店内のプロモーションでは、こちらも「健康数値サポートシリーズ」の専用什器を用いて展開する。コロナ禍でサプリメントへの関心も高まっているが、サプリメントは、それぞれ機能が異なるため、セルフ販売で商品を正しく理解してもらうための工夫が必要になる。そこで「健康数値サポートシリーズ」では、説明用カードを組み込んだ什器を導入。
例えば、「内脂サポート」用では、カードの見える部分に「体重・体脂肪をサポート、そのヒミツは?」と書かれており、カードを引き上げると、簡潔にまとめられた商品の特徴が表示される仕組み。同社では、こうした販促ツールを活用しながら、ドラッグストアを中心とした全国1万店舗以上に「血圧サポート」の導入を目指す。流通営業本部・流通営業推進部・企画推進グループの矢野恭子氏は、「リモートワークの普及など生活環境が変わる中で、健康に対するお客様のニーズも変化している。そうした変わるニーズに応えた販売促進を行いながら、導入店舗を増やしていきたい」と、意欲を示す。同様に磯崎課長も、「健康数値サポートシリーズで1番好調な内脂サポートを超える商品に血圧サポートも育てていきたい」と力を込める。コロナ禍で外出自粛が続き、不摂生でストレスが多い生活を送る人も少なくない。そうした層に向け、「血圧サポート」での高めの血圧対策を提案していく構えだ。