我々は三重県で40年以上にわたって宅配事業を手掛けているローカルスーパーです。

 今、小売業にとって50年に1度の地殻変動が起こっています。皆さんご存じの通り、モータリゼーションの大波がスーパー業界を大きく変えました。あれから50年、お客様のメインアクセスは自動車からスマホへと移行しています。今、スマホに対応したネットスーパーを持たないのは、車社会なのに駐車場を持たないのと同じ。確実に時代に取り残されることになります。

 ネットと店舗の売り上げは今後必ず逆転します。生鮮食品の購買も近いうちにネット主体になるでしょう。実際、我々の店舗では、売り上げの21~22%をネット宅配で上げています。多い日はこれが40%近くになり、部門別に見ると、野菜、豚肉、乳製品、和日配などは50%を超えるものもあります。逆転現象は既に起きつつあるのです。

 これは、「コロナで今だけ伸びている」のではありません。これまでも店舗を上回る成長率で伸びていたものが、コロナで一気に加速したのです。今年に入ってからも、我々のネット売り上げは昨年のピークから2桁増を維持。こういう状況ですから、もし自店がやらなかったとしても、周りの大手は必ずネット攻勢を仕掛けてきます。アマゾンの例を引くまでもなく、ネットは先取り総取りの世界。後でやればいい、というのは大きな間違いです。

 一方で、ローカルスーパーにとってはチャンスでもあります。私の見立てでは、ネットスーパーは1社が全国を統一するのではなく、各県・各地域の1社が地元ネット商圏を握る構図になるはずです。ローカルスーパーは大手や外資より先にここを押さえることが重要になります。現状、県内2番手・3番手の企業も、このチャンスを生かさない手はありません。

スーパーサンシのネットスーパー(スマホ画面)

 ネットスーパーのスタイルとしては、リアル店舗を拠点に据えた店舗出荷型と、センター出荷型がありますが、後者の方式は日本では厳しいと見ています。投資が重すぎますし、既に強固な基盤を築く生協さんに敵いません。また、食品の粗利率で黒字化するには自社配送が絶対条件となります。我々はこうした知見を基に「小商圏高密度」な店舗出荷型ネットスーパーを構築、生協さんに勝るとも劣らない効率を実現しています。

 我々が蓄積したノウハウを各地のローカルスーパーさんにも役立てていただくべく、一昨年5月から「JAPAN NetMarket」というネットスーパーのFC展開を始めました。サンシモデルの成功パターンを今すぐ横展開できますので、導入した初月から2~3%の売り上げアップが可能。1店で始めても1年で黒字化、2店目からは初期費用はかからず、ローコストで収益を積み上げることができます。

 今後のスーパー業界は、「店でも買える、ネットでも買える」が当たり前の時代。コロナ後の厳しい環境下で売り上げを伸ばし続けるにはネット宅配導入しかない、というのが私の結論です。(8月20日、全国スーパーマーケット協会にて)