今期はコロナ禍の影響で小売各社の新中期経営計画策定ラッシュになった。イオンやセブン&アイ・ホールディングス(HD)などのように傘下に多くの関連会社を持つ企業は、グループ従業員やステークホルダーが中計の定量的、定性的目標に基づいて動向を判断しているために、中計は欠くことのできない“道しるべ”であり、グループ一体感の醸成にもつながっている。また、計画が未達に終わった時、なぜ駄目だったのか検証し、次につなげていくツールにもなる。しかし、計画はあくまで計画であって、不慮の出来事や災害などの環境の変化に応じて、柔軟に軌道修正を図ることも欠かせない。計画ありきだと、採算の伴わない投資も先行し、傷口が大きくなることもあり、先を見越したトップの判断が重要になってくる。
前期ほど業態により明暗が分かれた年はない。外食、百貨店、アパレル、ショッピングセンター(SC)などは業績不振のため、既存計画を取り下げ、新たな中計策定に臨んでいる。中には先行きの見通しが立たないことから、計画策定を延期する企業(外食、アパレル)も出ている。