昨年発足した菅内閣は、国内外に向けて温室効果ガスの排出量を2050年に実質ゼロにする新目標を打ち出した。小売業界では、セブン&アイ・ホールディングス(HD)がグループ共通の環境目標と組織体制を整え、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を19年に業界に先駆けて発表。菅首相の所信表明演説に伴い、同社も50年までのCO2排出量を「実質ゼロ」に変更、それに向けた商品開発や店舗の取り組みも加速させている。

セブンプレミアムの包材の9割は環境配慮を実現

 「セブン&アイグループは2万3000近くの店舗数と多彩な業態を持ち、国内で毎日2500万人に利用されている。これを地域のサーキュラーエコノミー(循環型経済)の拠点作りと環境に配慮した商品開発を継続し、それに多くのお客様が共感いただくことで社会全体の消費スタイルが変わることにもつながる。6月からグリーンチャレンジの3年目に入り、これを強く打ち出します」

 セブン&アイHD執行役員サステナビリティ推進部の釣流まゆみシニアオフィサーはこう力強く語る。同社の環境宣言の骨子は、SDGsを参考に、CO2排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つからとなる。この4つのそれぞれにプロジェクトチームを立ち上げ、実効性を上げるためチーム長には執行役員を選出し、30年と50年の具体的な数値目標に向けてグループ横断での取り組みを推進している。

 それに合わせた形で、「セブンプレミアム コネクト宣言」を昨年発表し、環境に配慮したPBの開発政策を打ち出した。コネクト宣言では、①環境対応、②健康対応、③上質商品、④グローバル対応の4つの強化を柱に価値訴求をより高め、100年先まで続く未来の次世代へと〝つながる〟持続可能なブランドに育成する。

 環境配慮をベースにした商品開発も新たなステージに入った。容器は「チルド弁当」などをプラスチックから紙製に切り替え、チルド飲料「カフェラテ」はラベルに直接印字することでフィルムと外フタをなくした。カップ惣菜「カップデリ」はフタをトップシール化。プラスチックの使用量の約25%削減を実現するとともに、トップシール化することで長鮮度化も実現。「商品部は地道に1つひとつの商品を見直し、セブンプレミアムの包材の9割が環境への配慮商品となることを実現しました」(釣流シニアオフィサー)。

 それを支えるのが、取引先の消費財メーカーや印刷、容器、原料の企業も加えたチームMDでの取り組みだ。例えばサラヤとは、エシカル消費を後押しする商品開発を推進。日用品・衣料品PB「セブンプレミアム ライフスタイル」から、洗たく洗剤や柔軟剤、消毒液などを昨年発売。また両社とも東京書籍発行の小学生向けのSDGs教育ブックに取り組み事例が掲載されており、環境に対する同じ姿勢を持つ企業として取り組みをさらに深める構えだ。

 それに合わせた形で、「セブンプレミアム コネクト宣言」を昨年発表し、環境に配慮したPBの開発政策を打ち出した。コネクト宣言では、①環境対応、②健康対応、③上質商品、④グローバル対応の4つの強化を柱に価値訴求をより高め、100年先まで続く未来の次世代へと〝つながる〟持続可能なブランドに育成する。

 環境配慮をベースにした商品開発も新たなステージに入った。容器は「チルド弁当」などをプラスチックから紙製に切り替え、チルド飲料「カフェラテ」はラベルに直接印字することでフィルムと外フタをなくした。カップ惣菜「カップデリ」はフタをトップシール化。プラスチックの使用量の約25%削減を実現するとともに、トップシール化することで長鮮度化も実現。「商品部は地道に1つひとつの商品を見直し、セブンプレミアムの包材の9割が環境への配慮商品となることを実現しました」(釣流シニアオフィサー)。

セブン&アイHD執行役員サステナビリティ推進部の釣流まゆみシニアオフィサー

 それを支えるのが、取引先の消費財メーカーや印刷、容器、原料の企業も加えたチームMDでの取り組みだ。例えばサラヤとは、エシカル消費を後押しする商品開発を推進。日用品・衣料品PB「セブンプレミアム ライフスタイル」から、洗たく洗剤や柔軟剤、消毒液などを昨年発売。また両社とも東京書籍発行の小学生向けのSDGs教育ブックに取り組み事例が掲載されており、環境に対する同じ姿勢を持つ企業として取り組みをさらに深める構えだ。

普及型店舗として位置づけ省エネ建物・設備の導入を広げる

 店舗運営でも環境宣言に基づいたCO2排出量削減の取り組みを進めている。昨年11月にオープンした「セブンイレブン青梅新町」で最新省エネ建物・設備を導入。建物には複層ガラスを設け、遮熱性を高めることで冷暖房の効きを向上させ、さらに大容量太陽光パネルを設置。店内はリーチインケースに外気が入らない内扉仕様や埃を除去するオートクリーンフィルターなどを採用。その結果、冷ケースの冷却器に付着した霜取りに時間がかかっていたが、フィルター清掃作業や霜取りの作業がなくなり作業効率も高まった。これらの設備導入によって13年度比で調達電力を43%削減し、同時にCO2排出量も54%削減を実現。釣流シニアオフィサーは「実証実験し、その後に新店や既存店に省エネ設備を導入予定です。青梅新町店はモデル店ではなく、普及型店舗として位置付けています」と水平展開への準備を整えていることを明かす。

 今後、同社は21年度から設備投資の5%以上を環境分野に投じる方針も決定。ヴェオリア・ジャパン、三井物産と西日本に新設するペットボトルリサイクル工場の合弁事業に係る株主間契約を締結。物流会社とは発送拠点数を増やすなどして、サプライチェーン全体の取り組みも加速させていく構えだ。

 同時に消費者に向けてSDGsや環境について考えるきっかけとなる企画も多数提案。世界で同時に電気を消す環境アクションに賛同し、約600店で屋上看板などを消す「ライトダウン」を3月27日に実施。またセブンプレミアムを使った食品ロス削減レシピ「賢者のレシピ」をホームページなどで紹介している。同社は環境に配慮した持続可能な取り組みを進め、それを未来への世代につなげていく。

(冒頭写真 「セブンプレミアム ライフスタイル」の洗たく洗剤や消毒液)