ミニストップは3月9日、2021年度の商品政策発表会をオンラインで開催した。

 21年度は商品力と販促強化を掲げる。同社の前期(20年2月期)は、新型コロナの影響を受けて既存店売上高が前年割れを続け、客数が80%台まで落ち込んだ。このため、「客数に左右されるおにぎりやソフトドリンクは大変厳しい結果となった」(藤本明裕社長)という。その一方で、ファストフード(FF)のスイーツはテレビ番組で紹介されたことで、放映翌週には2倍まで伸長。その後も前年比2割増で推移している。これらの結果から、ミニストップでは「コロナ禍で生活スタイルが大きく変わり、楽しい食事をしたいというニーズに十分対応できていなかった」(藤本社長)と結論づけた。

 そこで今期は毎日行きたくなる「食事のデスティネーションストア」を目指し、商品面では「やみつキッチン」シリーズを立ち上げた。弁当では原材料にこだわりながらも手ごろな価格で提供できる商品を開発。1月26日に発売した「駅弁風弁当」シリーズは、従来の原価構造では600円以上となる商品を製造工場と協力することで中間コストを削減し、本体価格555円を実現した。今後、弁当だけでなく調理パンなどにも広げていく計画だ。

 また店内調理惣菜では、売り場展開で「タイムマーチャンダイジング」を導入。朝から17時まではおにぎりが目立つように陳列し、17時以降は惣菜が目立つように変更する。伸長する家飲み需要に対応するため、業務用メーカーとの取り組みを強化し、看板メニュー商品の育成を図る。同社が得意とするスイーツでは、デザートドリンクに「グルクル」シリーズを追加し、購入頻度の改善を狙う。

 これらの認知度を高めるため、テレビCMを増やす。これまでのスポットCMに加えて、番組提供の「タイム枠」でも放映する。放映時期も従来の夏から、第1四半期(3~5月)での集中投下に変更し、来店を促す。また、購読者が60万人のメールマガジンに加え、下期にはスマホアプリ「ミニストップアプリ」をリリースする予定だ。アプリでの商品情報発信や独自クーポンの発行、ワオンポイントの連携などに取り組むことで、「ミニストップファンの増加と定着を図る」(仲澤光晴取締役商品本部長)考え。9月には従来のフランチャイズ(FC)契約から「パートナーシップ契約」への切り替えを控えており、藤本社長は「FCビジネスの変革を実現するため、日販の向上と客数回復に取り組む」構えだ。

(写真は藤本明裕社長)