EU向け輸出を手掛ける英国中小企業が廃業の危機に

 変異種が猛威を振るいピーク時には毎日6万人もの感染者を出していた英国。他国に先駆けて大胆にワクチンを先買いしたことが功を奏し、今では、すでに国民の4割以上が接種を済ませた。未だ調達に苦戦し、接種率10%を超えた程度と低迷するEUを大きく引き離して、EU離脱によって可能となった独自政策の勝利を誇示する。

 コロナの猛威と大規模ワクチン接種計画の影に隠れ、年末以降、あまり聞こえてこないEU離脱の影響はどうなっているのだろう。昨年クリスマス直前、年末の期限ぎりぎりで、EUとの自由貿易協定が合意に達したことで、相互に輸入関税を課すことだけは免れた。だが、これまでの40年余り、県か州を越えるかのように取引していたことに比べれば、EUと英国双方のサプライヤーにとって輸出申請や通関書類作成の負担は膨大だ。ドーバー海峡を挟む両側に貨物と書類を精査するための税関施設を設置し、訓練を施した通関士を配備し、保税倉庫なども整備しなければならなくなった。

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