ウーバーイーツジャパン、出前館など、フードデリバリーサービスを手掛ける13社が、業界共通の課題の改善を目的に、2月3日、「一般社団法人日本フードデリバリーサービス協会(JaFDA)」を立ち上げた。
コロナ禍による外出自粛を受け、料理の宅配需要が高まると同時に、デリバリーサービスの提供者も、営業自粛で宅配に活路を求める飲食店、仕事を求める人の労働力を取り込み、サービス網を拡充している。その結果、フードデリバリー市場は昨年だけで40%以上拡大したという推計もある。一方、サービスの急速な普及に伴い、配達員による交通違反、事故などの問題も増加している。さらに、配達中の事故への補償や報酬の不透明さなど、配達員と運営事業者の契約関係を巡る問題もクローズアップされ、一昨年10月には、ウーバーイーツの配達員が労働組合「ウーバーイーツユニオン」を設立するなど、労働環境の改善を求める声も高まっている。
こうした状況を受け、JaFDAでは「配達時における交通ルール違反、交通トラブルの削減」、「配達におけるサービス品質の向上及び商品の安全・衛生管理」、「配達員/パートナーとの適切な関係性の構築」に業界として取り組んでいく構えだ。加えて、ドローンや配送ロボットを使った無人配送、デリバリーに特化したゴーストレストラン、バーチャルレストランなど、個社だけでは対応できない新たなテクノロジーを使った新サービスの開発にも意欲を示した。
協会の代表理事には元農林水産事務次官の末松広行氏が就任。理事には、ウーバーイーツジャパンの武藤友木子日本代表、出前館の藤井英雄社長など、サービスを展開する大手事業者の経営者5名に加え、神戸大学法学研究科の大内伸哉教授、英知法律事務所の森亮二弁護士、一般社団法人ECネットワークの澤田登志子代表など、食品産業、労働問題、ECなどの分野の有識者も名前を連ねており、客観的な目で業界へのアドバイスを行う。
末松代表理事は、「今回、フードデリバリーのプラットフォームを運営する13の主要な事業者すべてが加盟したことは、業界全体が一丸となり諸課題の改善に取り組み、業界の発展に努めていくという強い意志の表れと言える。今後、新たにサービスを開始する事業者にも加盟を促し、安心してサービスを利用していただける環境を作りたい」と、活動の推進に意欲を示した。
(写真は日本フードデリバリーサービス協会のホームページ)