物効法の中長期計画提出を前に問い合わせが増加

 改正物流効率化法(物効法)の施行を受けてパレット輸送が急速な広がりを見せている。レンタルパレット最大手の日本パレットレンタル(以下、JPR)では、レンタルパレットの流通枚数が昨年度、過去最高の5500万枚を突破した。

 一番の要因は脱手荷役の動きだ。物効法で掲げられた「荷待ち・荷役時間は2時間以内」の目標を受け、「手荷役を解消するために、小ロットでもパレット輸送を行うケースが増えている」と、JPRの宇田裕司執行役員営業部長(冒頭写真)は現状を語る。

 さらに直近では、物効法が定める一定規模以上の特定荷主が国に提出しなければならない物流効率化の中長期計画の作成が大詰めを迎えており、「すでにある程度効率化に取り組んでいる企業様、これから急いで取り掛かる企業様の双方から、効率化の手立てについての問い合わせが増えている」(宇田執行役員)という。

 そこでJPRは国際物流総合展2026に出展、物効法が求める「荷役時間の短縮」「荷待ち時間の短縮」「積載効率の向上」の三つについて、五つのソリューションを紹介する(表参照)ことで、荷主の悩みやニーズに細かく対応していく構え。

 中でもJPRが荷役時間の短縮につながる施策として推奨するのが、同社の本業であるレンタルパレットを用いたパレット輸送だ。

 同社は50年以上前からレンタルパレットの共同利用・共同回収の仕組みづくりに取り組んできた。まず川上であるメーカーの製造拠点にレンタルパレットを供給し、メーカーはパレットに商品を積み、卸もしくは小売業のセンターにパレットごと商品を輸送する。JPRはそれらのセンターに出向きパレットを回収、デポで破損などの確認や洗浄作業を行ったうえで、またメーカーにパレットを届ける。すでに加工食品、飲料(ビール系を除く)、日用品の3業界において、メーカーの出荷物量の大半をカバーしており、卸・小売りのパレット回収拠点は全国3200カ所、パレットの受け渡し拠点となると全国3万カ所以上になる。

 これだけでもJPRが物流インフラとしてもはや欠かせない存在と言えるが、目下JPRが取り組んでいるのが三つのさらなるネットワークの拡張だ。

 一つは業界の拡大だ。これまで手荷役が多かった菓子、即席麺、冷凍・チルド品、農産品、医薬品へのパレット化を推進。もう一つは既存の加工食品・飲料・日用品業界における残りのパレット化推進だ。ここに該当する取り組みの一例が沖縄向けの輸送で、2024年から共同回収拠点の開拓に着手している。

 二つ目が「目下引き合いが多い」と宇田執行役員が語る国際間輸送だ。JPRでは約40年前から国際間パレット輸送を手がけており、特に日本・韓国・タイ・北米など、アジアを中心に拠点を有している。引き合いが多い理由は、国内でパレット輸送がスタンダードになりつつあるためだ。特に輸入側でのメリットが大きく、例えばメーカーや商社と取引のあるタイの委託工場にJPRがレンタルパレットを持ち込めば、日本に商品とともに輸送後、パレットは国内流通にそのまま乗せることができる。

 そして三つ目が、サプライチェーンのさらに川上への拡大だ。例えば、飲料の場合従来はメーカーの工場がパレット貸し出しのスタートであったが、そのさらに川上にさかのぼり、ペットボトルのキャップや段ボールなどの資材の輸送段階からパレットを活用してもらおうというもの。背景には物効法が着荷主の責任も明確にしたことで、荷主であるメーカーがパレット輸送を取引先に求めていることがある。「こうした川上からのパレット輸送がスタンダードになる可能性も十分ある」と宇田執行役員は見ている。

他社にはない優位性は絶対量と安定供給

 JPRの優位性は、年間5500万枚のレンタルパレットを企業に供給しており、絶対量で圧倒的であること。かつ一定した品質のパレットを川上のスタート地点に確実に供給するインフラを構築しており、物流拠点を止めることもない。

 またJPRが創業以来掲げている、標準パレットの運用にもブレはない。様々な仕様が乱立すれば物流センターでは余計な仕分け作業のコストが発生するが、JPRでは国土交通省が定める標準の「T-11」型を中心に提供しており、サプライチェーン全体に対し、同一ルールでの使用を求めることで、業界全体の効率化とコスト削減を実現している。加えて各社が独自にパレットを保有・運用する場合と比べてCO2排出量も76%削減できているという。

 JPRではこのレンタルパレットのシェアをさらに引き上げるべく、今年、競合関係にあった日本パレットプール(NPP)を完全子会社化した。NPPは石油化学業界などに強みを持ち、JPRとは得意業界が異なることから相乗効果も期待できる。これによりJPRのレンタルパレット保有枚数は1650万枚、レンタルパレット市場におけるシェアは約6割まで高まった。「異なる業界の情報もそれぞれにシェアさせていただきながら、今後もサプライチェーン全体の効率化に取り組んでいく」と宇田執行役員は力を込める。